「エストニアで学んだ起業家精神を、岡山・瀬戸内市の学生に教えた」地方経済循環率87.2%の現実と、アントレプレナーシップ教育という答え。学習院大学国際社会科学部合格ストーリー
学習院大学国際社会科学部に総合型選抜で合格した、黒木朔太郎くん
瀬戸内市で見た、地方経済衰退のリアル
黒木くんは将来、岡山県瀬戸内市をはじめとする日本の地方都市の抱える経済低迷の課題を、アントレプレナーシップ教育を用いた人材育成によって解決したいと考えています。この明確な目標を実現するために、学習院大学国際社会科学部を志望しました。
近年、少子高齢化や都心一極集中などにより、地方都市では深刻な人口減少が発生し、それに伴い労働人口不足・生産力低下などが起きています。瀬戸内市も人口減少によって農水産業や製造業などの就業者が不足しています。
特に注目すべきは、市の地方経済循環率が87.2%(2018年)と低く、所得が市外に流出しているという事実です。地域内で所得循環構造が構築できず、経済衰退が進んでいます。このような現象は全国各地で起きており、都心一極集中がさらに過激化することも予測されます。東京に住む黒木くんにとっても、これは他人事ではありませんでした。

日本ITビジネスカレッジで聞いた、学生たちの不安
具体的な解決の糸口を探るため、黒木くんはリザプロの課外活動で高校3年次に瀬戸内市を訪れました。日本ITビジネスカレッジ(JIBC)の理事長や学生と、地方の課題について議論を行ったのです。
そこで分かったのは、学生たちが卒業後の就職に不安を抱えているという現実でした。地方では就職先が限られ、進路選択の幅が狭い。この課題に対して、黒木くんは行動を起こしました。
エストニア留学の経験を活かし、授業を考案・主導
黒木くんは自身のエストニアへの留学の経験を活かし、JIBC の学生たちに向けてアントレプレナーシップ教育の授業を考案・主導しました。エストニアはスタートアップ大国として知られ、起業家精神を育む教育が充実しています。その経験を日本の地方都市の学生に還元したのです。
まずアントレプレナーシップについて講義を行い、地域課題のリサーチをしてもらいました。そして、その解決策を考えてもらい地元の方々の前で発表してもらいました。高校生が専門学校の学生に授業を行い、地域の方々の前でプレゼンテーションまで実現させたことは、驚くべき実行力です。
この経験から、黒木くんは確信を得ました。人材育成という持続可能な投資によって、労働人口が少なくとも経済を衰退させない仕組みをつくれると。
学習院大学で実現したい、国際的な地方創生の学び
黒木くんは学習院大学国際社会科学部で学ぶことを強く志望しています。学部では5分野にまたがる社会科学を学び、地方の経済課題に多角的に取り組めます。また段階的な英語による講義や必須の海外留学制度により、英語力を高めながら海外事例を学ぶことができます。
具体的な学習計画も明確です。1年次にミクロ・マクロ経済学や経営戦略、開発と環境の地理学などを学び、2年次には経済成長論や地域研究の手法を履修し英語授業にも慣れていきます。
特に注目しているのは、関麻衣教授の国際開発論やEconomic Developmentです。実証ミクロ計量経済学を専門とする関教授のもとで、地域経済の課題を定量的に分析する力を身につけたいと考えています。また、牧田りえ教授のゼミで発展途上国の問題にも取り組み、開発地理学の視点から地域課題解決のアプローチを学びたいとしています。
エストニア・タルトゥ大学への留学計画
人材育成の面では、エストニアのタルトゥ大学に留学し、スタートアップ大国の先進的な教育現場を体験したいと考えています。高校時代のエストニア留学では地方経済やアントレプレナーシップを深く考える機会がありませんでしたが、今回は明確な目的を持って再訪したいという想いがあります。
エストニアはスタートアップ企業数が多く、アントレプレナーシップ教育に長けています。先進的な教育現場を自ら体験することで、質の高い人材育成を実現し、日本の地方都市に還元できると考えています。
合格の鍵となったポイント
黒木くんの合格には、いくつかの重要な要素がありました。
第一に、瀬戸内市という具体的な地域を対象に、地方経済循環率87.2%という具体的なデータを示した点です。抽象的な「地方創生」ではなく、具体的な地域と数値に基づいた課題認識が説得力を持ちました。
第二に、日本ITビジネスカレッジで実際に授業を考案・主導した点です。高校生が専門学校の学生に授業を行い、地域の方々の前でプレゼンテーションまで実現させたことは、並外れた実行力を示しています。
第三に、エストニア留学という海外経験を持ち、それを日本の地方課題解決に活かした点です。単に留学して終わりではなく、学んだアントレプレナーシップを瀬戸内市で実践し、さらに大学でタルトゥ大学への再留学を計画しています。この一貫性が評価されました。
第四に、学習院大学の具体的な教授名や講義名を挙げた点です。関麻衣教授の国際開発論やEconomic Development、牧田りえ教授のゼミという具体的な学びの場を示し、それが自分の目標実現にどう役立つかを明確に説明しました。
第五に、「人材育成という持続可能な投資」という明確なコンセプトを打ち出した点です。単なる地域振興策ではなく、人材育成を通じた持続可能な地方創生という視点が独自性を示しました。

エストニアで学んだ起業家精神が、瀬戸内市の未来を変える
黒木くんの物語の核心は、「エストニアで学んだことを、日本の地方に還元する」という明確な循環にあります。
エストニア留学でアントレプレナーシップを学ぶ。瀬戸内市の日本ITビジネスカレッジで学生たちに授業を行う。学習院大学で関教授や牧田教授のもとで地域経済と開発地理学を学ぶ。そしてエストニアのタルトゥ大学に再び留学し、より深い学びを得る。最後に瀬戸内市で事業を立ち上げ、全国の地方都市に展開する。
この一連の流れは、単なる計画ではなく、すでに実践が始まっています。JIBCでの授業は、その第一歩でした。学生たちが地域課題のリサーチを行い、解決策を考え、地元の方々の前で発表する。この経験が、彼らの進路選択の幅を広げ、地方で起業する可能性を示しました。
地方経済循環率87.2%という数字が示すのは、瀬戸内市の所得が市外に流出している現実です。しかし、アントレプレナーシップ教育を受けた人材が地域で起業すれば、所得の循環構造が生まれます。人材育成という持続可能な投資が、地方経済を衰退させない仕組みをつくるのです。
学習院大学国際社会科学部で5分野の社会科学を学び、英語で国際開発論を学び、エストニアで最先端の起業家教育を体験する。黒木くんの学びは、すべて瀬戸内市をはじめとする日本の地方都市の未来につながっています。いつか彼が立ち上げる事業が、地方経済循環率を100%に近づけ、若者が地元で挑戦できる環境を作る日が来るでしょう。エストニアで学んだ起業家精神が、日本の地方の未来を変えていきます。
