中高6年間、私はひたすらバスケットボールに打ち込んできました。平日は放課後に数時間、週末もほぼすべてが練習や試合に充てられる毎日。スポーツ推薦での進学を目指せるような目立った実績はなかったものの、それでも「チームのために全力を尽くす」ことを大切にして、日々汗を流してきました。
その一方で、大学進学への不安も常につきまとっていました。一般入試で必要な学力を身につけるための勉強時間が、部活動中心の生活の中ではどうしても限られてしまい、「このままで本当に志望校を目指せるのだろうか」と、焦りや葛藤を感じていたのを覚えています。
そんなときに出会ったのが「総合型選抜」という入試制度でした。自分のこれまでの経験や価値観を、学力だけでは測れない角度から評価してもらえるこの制度に、私は大きな可能性を感じました。
とはいえ、最初は何から始めればいいのか分からず、戸惑うことも多くありました。しかし「バスケへの情熱」が、実は自分の強みなのではないかと気づいたとき、自分の進むべき道が少しずつ見えてきました。
その強みを社会にどう活かせるかを考え、先生と何度も話し合う中でたどり着いたのが、「バスケットボールを通した社会貢献」という答えでした。自分がずっと打ち込んできたスポーツを、誰かの笑顔や元気につなげられるのではないか。そんな想いから、実際に私は被災地を訪れ、子どもたちに向けたバスケットボール教室を開催し、復興支援の一環として活動しました。

またそれ以外にも、地域のイベントスタッフや子ども向けスポーツ体験会のボランティアなど、さまざまな課外活動に参加する中で、スポーツが社会にもたらす力や、自分ができることの幅広さに気づくことができました。自身が行った活動は新聞社にも取り上げていただきました。

こうした経験を経て書き上げた志望理由書では、仲間と切磋琢磨してきた経験、困難をどう乗り越えたか、そしてそれを社会にどう活かしていきたいのかを、自分の言葉で丁寧に綴りました。単に思い出を書くのではなく、「経験」から「学び」、そして「将来像」へとつながるストーリーを意識しました。
さらに、面接やプレゼン対策では、自分の考えを相手にしっかり伝えるために、何度も練習を重ねました。自分の強みを言語化することは簡単ではありませんでしたが、その過程こそが、自分を深く見つめ直す貴重な時間だったと感じています。
限られた時間の中で、自分の強みを見つめ、言葉にし、伝える準備を進めていった結果、私は第一志望だった早稲田大学スポーツ科学部に合格することができました。あのとき、自分に合った入試制度を知り、自分の経験に誇りを持って向き合えたことが、この結果につながったのだと思います。

今、部活動に打ち込みながら進路に不安を感じている人がいたら、私は声を大にして「あなたの好きなことには、きっと価値がある」と伝えたいです。学力だけでは測れない“あなたらしさ”を評価してくれる道が、ここにはあります。