認知度の低い社会課題に挑む

――ラオス不発弾問題を「ソーシャルビジネス」で解決するために


志の原点|東南アジアとの出会いが育んだ問題意識

彼の志の出発点は、幼少期から繰り返し訪れていたベトナムでのホームステイ経験にあります。現地で暮らす人々との交流を通じ、日本との生活水準や価値観の違い、発展途上国が抱える貧困や格差を身近な現実として感じてきました。
こうした経験から東南アジアへの関心を深め、高校2年次に参加したラオスのスタディツアーで、彼の問題意識は決定的なものとなります。

現地で見た現実|世界で最も激しい爆撃を受けた国・ラオス

スタディツアーで彼が直面したのは、ベトナム戦争時にラオス全土に投下された膨大な数の不発弾という、現在進行形の社会問題でした。国土には約8,000万個もの不発弾が残され、人々の命や生活、経済活動を今なお脅かしています。

不発弾撤去は国際機関やNGOの尽力によって進められているものの、山岳地帯など未調査地域は多く、完全撤去には長い年月と莫大な費用が必要です。彼はこの問題が日本ではほとんど知られていない現状に強い違和感を覚え、「なぜここまで深刻な問題が世界で共有されていないのか」と問いを立てました。


行動と挫折|認知度向上への挑戦と限界

彼は、不発弾撤去が進まない根本要因の一つに「世界的な認知度の低さ」があると考え、まずは自分にできる行動として、ラオスの自然や人々の暮らしをSNSで発信する活動を始めました。しかし、思うような反響は得られず、「思いだけでは社会は動かない」という現実に直面します。

この経験から、感情的な訴えではなく、戦略的に価値を伝える力の必要性を痛感し、地域PRのあり方を学ぶリザプロの講座に参加しました。


学び直しの経験|「課題解決型」の発信とは何か

講座では、夕張市や京都市などの事例を通じて、特定の産業への依存が地域衰退を招くリスクや、表面的な集客ではなく「住民の暮らしに寄り添う視点」が重要であることを学びました。
千葉県佐倉市を題材としたグループワークでは、地域の課題分析から企画立案までを行い、社会課題を発信する際には、歴史・産業・生活を総合的に捉える必要があると実感します。

この経験は、ラオス不発弾問題を「悲惨さ」だけで語るのではなく、社会構造の中でどう解決していくかを考える姿勢へと彼を導きました。

歴史を学ぶ理由|社会課題の「背景」を読み解く力

彼が立教大学文学部史学科を志望した最大の理由は、社会課題を歴史的背景から捉える力を身につけたいと考えたからです。
ラオスの不発弾問題は、戦争という過去の出来事が現在の社会にどのような影響を及ぼしているのかを象徴する問題です。彼は、課題解決には「今」だけでなく、「なぜそうなったのか」を理解することが不可欠だと考えています。

史学科で史料に基づく客観的な分析手法を学び、社会学や国際関係論と横断的に結びつけることで、物事の本質を多角的に捉える力を養いたいと述べています。


入学後の学び|歴史 × 国際 × ソーシャルビジネス

入学後は、アジア地域研究や文化人類学の視点から自身の価値観を相対化しつつ、ソーシャルデザインや実践的プログラムにも積極的に参加する計画を立てています。海外プログラムや国際的なボランティア活動を通じ、異なる文化背景を持つ人々と協働しながら課題を解決する力を磨きたいと考えています。

これらの学びを通して、「社会課題は一国だけでは解決できない」という認識を深め、将来はラオス不発弾問題にソーシャルビジネスという形で持続的に取り組むことを目標としています。


合格の決め手|志・行動・学問が一本につながっていた点

彼の志望理由書が評価された理由は、強い問題意識に加え、行動→挫折→学び直し→進学理由というプロセスが一貫していた点にあります。
「なぜこの問題なのか」「なぜ史学なのか」「大学で何を身につけたいのか」が明確で、将来像まで具体的に描かれていました。

認知度の低い社会課題に正面から向き合い、歴史と実践の両面から解決を目指す姿勢こそが、合格を引き寄せた最大の要因だったと言えるでしょう。