私はずっと、指定校推薦での進学を目指して高校生活を過ごしてきました。学校の成績にも気を配り、提出物や授業態度にも気を抜かず、真面目にコツコツと取り組んできたつもりでした。だからこそ、高校3年生の9月、まさかの指定校推薦落選の知らせを受けたときは、頭が真っ白になりました。

「このまま全部ダメになってしまうんじゃないか」と、パニックに近い気持ちで数日を過ごしたのを今でも覚えています。

けれど、そんな自分をなんとか立て直せたのは、総合型選抜の準備を並行して進めていたおかげでした。万が一に備えて動いていたことが、まさに“救いの道”になったのです。

総合型選抜に向けては、もともと自分がずっと好きだったサッカーをテーマに、国際協力の分野と結びつけて活動してきました。具体的には、サッカーボールをアジアやアフリカの地域に届けるボランティア活動や、サッカーを通じて子どもたちの教育機会を支援する団体に参加。自分の「好き」が、誰かの未来につながる可能性を感じられた体験は、自分の中でも強い原動力になりました。

活動の中では、単に寄付や支援をするだけではなく、どうすれば現地の文化や価値観を尊重しながら継続的な支援につなげられるかを考え、仲間とディスカッションを重ねる機会も多くありました。このプロセスを通して、国際協力の現場がいかに複雑で、しかし同時にやりがいのある分野かということを実感することができました。

これらの体験をベースに、志望理由書を仕上げていきました。ただの活動記録ではなく、「なぜ自分がこの分野に興味を持ち、何を感じ、今後どう学びに繋げていきたいのか」というストーリーを意識して、自分の言葉で丁寧に書き上げました。

面接やプレゼンの対策にも全力で取り組みました。何度も練習を重ねる中で、最初は緊張してうまく言葉が出なかった自分が、少しずつ「伝える力」を身につけていくのを感じ、自信を持って本番に臨むことができました。

その結果、私は無事に上智大学に合格することができました。落ち込み、迷い、悔しさを乗り越えながらも、「総合型選抜」というもう一つの道を選んだ自分を、今では心から誇りに思っています。

あのとき、リスクに備えて準備を始めておいて本当に良かった――。この受験を通して、私は何より「備えることの大切さ」と「自分の可能性を信じて行動する勇気」の重要性を学びました。