大学受験を見据えて、私はこれまでに大手予備校や個別指導塾など、いくつもの塾に通わせてもらいました。親も全力でサポートしてくれていましたが、模試の成績は思うように伸びず、どれだけ努力しても結果につながらない現実に、次第に焦りと不安を感じるようになっていきました。
「このままで、本当に志望校に届くのだろうか?」
そんな迷いを抱えていたときに出会ったのが、「総合型選抜」という入試制度でした。最初は名前すら知らなかったこの制度が、実は“学力”だけでは測れない、自分らしさや経験を評価してもらえるチャンスであることを知り、大きな希望が生まれました。
もともと私は、知識を机上で学ぶよりも、留学やボランティアなど実体験を通して学ぶことが好きでした。だからこそ「自分らしい挑戦が評価される入試」という言葉に強く惹かれました。そして、「これは、今までの自分の経験を活かせる入試かもしれない」と思い、受験の方向性を大きく見直すことを決めたのです。
そこからは、ただ“受験のための勉強”ではなく、“自分の関心を深める学び”を軸に活動を重ねていきました。特に印象的だったのは、千葉県教育委員会に対して高校生の立場から教育改善に関するプレゼンテーションを行った経験です。教育の現場で何が課題となっているのかを調査し、自分たちの視点からどのような変革が可能なのかを提案するという活動は、知識以上に「伝える力」「考える力」を鍛える機会となりました。
また、スイスへの短期留学では、現地の教育制度や多言語・多文化教育の現場を実際に見て学ぶことで、教育が個人の人生に与える影響について深く考えるようになりました。「一人ひとりの“らしさ”を引き出す教育とは何か」を追究する中で、私自身も「自分らしさとは何か」を問い続けるようになったと思います。
さらに、英語力を高める努力も続け、最終的には英検準1級を取得することができました。これは私にとって大きな自信につながり、プレゼンや志望理由書においても、国際的な視点で語れる土台となりました。
志望理由書では、こうした体験を通じて深まった教育への関心や、自分がこれから社会の中でどう役立ちたいかという展望を、自分の言葉で丁寧に綴りました。単なる実績の羅列ではなく、それぞれの経験がどのようにつながっているのか、自分にとってどんな意味があったのかを大切にしました。
その結果、私は第一志望だった上智大学に総合型選抜で合格することができました。あのとき、“偏差値”だけに縛られず、「自分らしさ」に目を向けられたことが、この合格につながったのだと心から思います。
いま、もし受験に不安を感じている人がいたら伝えたいです。あなたの中にも、必ず“武器”となる経験があります。総合型選抜は、それを見つけ、活かすチャンスです。