総合型選抜(旧AO入試)の受験を考え始めたとき、見落とされがちなのが「お金の話」。受験料や入学金はもちろん、対策にかかる塾代、遠方受験の場合の交通費・宿泊費、出願に必要な資格取得費用など、総合型選抜には想像以上にさまざまな費用が発生します。

この記事では、総合型選抜にかかる費用を「大学に支払うお金」「受験のための諸経費」「対策にかかるお金」の3つに整理して解説。実際の受験校パターン別のシミュレーションや、費用を抑えるための具体的なコツまで紹介していきます。

総合型選抜を受けるのにかかる費用の内訳


総合型選抜にかかる費用は、「大学に支払う費用」「受験のための諸経費」「対策にかかる費用」という大きく3つのカテゴリに分けられます。それぞれにどんな項目があるのか、まずは全体像を表で確認しましょう。

カテゴリ

費用項目

概要

大学に支払う費用

受験料

出願時に大学へ支払う検定料

入学金・初年度納入金

合格後に入学する権利を確保するための費用

受験のための諸経費

交通費

受験会場までの往復にかかる費用

宿泊費

遠方受験時のホテル代

対策にかかる費用

塾代

総合型選抜専門塾・予備校での指導料

書籍代

独学で対策する場合の参考書・問題集の購入費

資格取得費用

英検やTOEICなど出願資格となる試験の受験料

課外活動・専門学習費

ボランティア参加費、専門スクール受講料など


この中でも特に金額が大きくなりやすいのが「入学金・初年度納入金」と「塾代」の2項目です。塾代だけで年間50万円〜150万円かかるケースもあり、何にいくら使うかの優先順位付けが重要となります。

また、受験する大学の数や立地によっても総額は大きく変動します。地元の大学を1校だけ受験する場合と、首都圏・関西圏の大学を3校併願する場合では、トータルで数十万円単位の差が生まれることも珍しくありません。

総合型選抜を受ける大学に払う受験料・入学金


総合型選抜で大学に直接支払う費用は、主に「受験料」と「入学金・初年度納入金」の2種類。それぞれの相場と注意点を見ていきます。

受験料

総合型選抜の受験料は、私立大学で30,000円〜35,000円、国公立大学で17,000円程度が相場です。一般入試と同様に、出願時にこの金額を大学へ振り込むことで受験資格を得る形になります。

複数校に出願する場合は、その分だけ受験料もかさむため注意しましょう。たとえば私立大学3校に出願すると、それだけで約10万円の受験料が発生します。出願校を決める際には、受験料の総額も必ず確認しましょう。

入学金と初年度の納入金

入学金は、合格後にその大学に入学する権利を確保するために支払う費用です。私立大学は約24万円が平均で、医歯薬系学部の場合は30万円〜100万円ほどとさらに高額になります。国公立大学は文部科学省によって標準額が決められており、約28万円が基本ラインです。

また、入学金とほぼ同時に、前期分の授業料や施設設備費を含めた「初年度納入金」の支払いも求められるのが一般的です。私立大学の場合、入学金と初年度納入金を合わせると年間100万円〜150万円程度になることが多く、合格後に短期間でまとまった金額を用意する必要があります。

総合型選抜を受けに行くときの交通費・宿泊費


地元から離れた大学を受験する場合に大きな負担となるのが、交通費と宿泊費。試験は1日では終わらないケースも多く、想定以上に費用がかさむことがあります。

交通費

遠方の大学を受験する場合、新幹線や飛行機代といった高額な交通費が必要となります。

新幹線の料金は、のぞみの指定席で片道12,930円、自由席で片道12,080円(往復約24,000〜26,000円)、のぞみの指定席で片道20,990円、自由席で片道19,400円(往復約39,000〜42,000円)です。また、何校も併願する場合は往復のたびに交通費がかかるため、上記の金額の2倍や3倍になるケースもあると理解しておきましょう。

宿泊費

二次試験が複数日にわたる場合や前日に現地入りする場合は、ホテルの宿泊費もかかります。1泊あたり5,000円〜15,000円程度が相場です。

また、大学周辺のホテルは受験シーズンに混み合うため、出願と同時に早めに予約しておくのが賢明です。特に首都圏や関西圏など人気エリアでは、二次試験の1〜2週間前にはホテルが軒並み満室になることもあります。なお、キャンセル可能なプランを選んでおくと、試験日程の変更にも対応しやすくなります。

総合型選抜の対策をするためにかかる費用


総合型選抜は、志望理由書や活動報告書、小論文、面接、プレゼンテーションなど、対策すべき項目が多岐にわたるのが特徴。塾を使うか、独学で進めるかで費用感は大きく違ってくるもの。

塾代

総合型選抜の専門塾に通う場合、年間で50万円〜150万円程度の費用がかかるのが一般的です。志望理由書の添削、小論文の指導、面接練習、活動実績の設計サポートなど、必要な対策を一気通貫で受けられる代わりに、料金は決して安くありません。

また、夏期講習や直前講習など特定の講座だけを受講する場合は、1講座あたり1.5万円〜2万円程度が相場となります。マンツーマン指導かグループ指導かによっても料金は大きく異なり、マンツーマンは1コマあたり8,000円〜15,000円、グループ指導は1コマ3,000円〜6,000円程度が目安となります。

独学で対策する場合の書籍代

独学で対策を進める場合でも、志望理由書の書き方に関する参考書、小論文対策の問題集、面接対策本などを揃える必要があります。トータルで1万円〜3万円程度が相場となります。

塾代に比べれば大幅に費用を抑えられますが、オンラインの単発添削サービスなどを利用する場合は、別途で費用がかかります。そのため、予算は少し余裕を持って見積もっておくと安心です。

資格取得にかかる費用


総合型選抜では、英検やTOEIC、簿記、漢検といった資格・検定を出願資格として求める大学が多く存在します。

英検の受験料は、2級で9,000円、準1級で10,400円、1級で12,400円です。複数回受験して合格を狙う場合は、そのぶん受験料がかさみます。これに加え、公式問題集や対策テキストの教材費も5,000円〜10,000円ほどかかります。

さらに、本格的な対策のために資格対策の講座を受講する場合は、数万円〜10万円程度の費用が追加で必要となるケースも。志望校が求める資格を早めに把握しておき、計画的に進めていくことが、トータルコストを抑えるうえでも重要だと言えるでしょう。

課外活動や専門分野の学習にかかる費用


総合型選抜では、活動実績も合否を大きく左右する要素のひとつです。アピール材料となる活動実績を積むために、追加で発生する費用についても見ておきましょう。

課外活動にかかる費用

ボランティア活動、インターンシップ、コンテストへの参加など、アピール材料となる課外活動には、交通費や参加費がかかる場合があります。地域の清掃活動など無料で参加できるものもあれば、コンテストの参加費が数千円〜数万円かかるものもあり、活動の種類によって大きく異なります。

特に短期留学や海外ボランティアなどに参加する場合は、数十万円単位の高額な費用が必要になることも。これらの活動は出願書類で強い武器になる反面、それなりのコストもかかるため、参加については慎重に判断することが大切です。

専門分野の学習にかかる費用

プログラミングスクールに通ったり、デッサンの教室に通ったり、語学スクールに通ったりと、志望する分野の専門性を高めるための学習費用も考慮に入れる必要があります。月謝制のスクールであれば月1万円〜3万円程度、短期集中プログラムだと数十万円かかるケースも。

こうした経験は他の受験生との差別化を図るうえで非常に効果的です。ただし、そのぶん費用もかさむため、費用対効果を考えて計画的に投資することが重要です。

総合型選抜を受けるときにかかる費用のシミュレーション


実際に総合型選抜を受けると、トータルでどの程度の費用がかかるのか気になっている方も多いでしょう。出願数別に3パターンのシミュレーションを用意したので、自分の状況に近いケースを参考にしてください。

1校のみに出願する場合

私立大学を1校のみ受験する場合のシミュレーションです。近場(地元)の大学と、遠方(東京〜大阪間)の大学を比較してみました。

項目

近場(地元)の場合

遠方の場合(東京〜大阪間)

受験料

35,000円

35,000円

入学金

240,000円

240,000円

交通費

0円(数百円のため、計算には入れず)

25,000円(学割新幹線往復)

宿泊費

0円

10,000円(1泊)

合計

275,000円

310,000円


1校のみに絞る場合、遠方であっても合計で30万円程度に収まることが分かります。受験料・交通費・宿泊費を合わせても、入学金と比較すると小さな割合となるため、行きたい大学が遠方でも経済的にチャレンジ可能なケースが多いでしょう。

2校を併願する場合(本命校+1つの併願校)

国公立大学を1校、私立大学を1校受験する場合のシミュレーションです。

項目

近場(地元)の場合

遠方の場合(東京〜大阪間)

受験料(国公立17,000円+私立35,000円)

52,000円

52,000円

入学金(私立分のみ仮で計上)

240,000円

240,000円

交通費

0円(数百円のため、計算には入れず)

50,000円(往復2回)

宿泊費

0円

20,000円(2泊)

合計

292,000円

362,000円


併願にすると、当然ながら受験料と交通費・宿泊費が増加します。ただ、国公立大学の受験料は私立よりも安いため、国公立+私立の組み合わせはコスパの良い併願パターンと言えます。試験日程が近ければ、宿泊を1回にまとめることで宿泊費を抑えることも可能です。

3校を併願する場合(本命校+2つの併願校)

国公立大学を1校、私立大学を2校受験する場合のシミュレーションです。

項目

近場の場合

遠方の場合(東京〜大阪間)

受験料(国公立17,000円+私立35,000円×2)

87,000円

87,000円

入学金(私立1校分を仮で計上)

240,000円

240,000円

交通費

0円(数百円のため、計算には入れず)

75,000円(往復3回)

宿泊費

0円

30,000円(3泊)

合計

327,000円

432,000円


3校併願になると、近場でも約32万円、遠方だと約43万円とトータルコストが大きく跳ね上がります。さらに塾代も加わると、総合型選抜にかかる総費用は100万円を超えることも珍しくありません。そのため、受験校を選ぶ際は、コストとのバランスも考慮して検討しましょう。

総合型選抜を受けるのにかかる費用の総額を抑える方法


意外と高額な費用がかかる総合型選抜。ただ、いくつかの工夫で総額を抑えることは十分可能です。ここでは、実行しやすい4つの節約のコツを紹介します。

出願する大学を絞る

最もシンプルかつ効果的な方法が、出願校を絞ることです。併願校が増えれば増えるほど、受験料・交通費・宿泊費・対策費の負担が比例して増えていきます。

本当に行きたいと思える大学を2〜3校に厳選すると、結果的に費用を抑えることにつながるだけでなく、それぞれの大学への対策にも集中しやすくなります。安易に併願校を増やすよりも、本命校の対策にしっかり取り組むほうが、結果的に納得感のある受験となるでしょう。

本命校よりも入学金の支払い期日が遅い大学を併願する

意外と見落とされがちなのが、入学金の支払いタイミングです。併願校の入学金納付期限が第一志望校の合格発表日よりも前に設定されている場合、確実に進学先を確保するなら併願校に先に入学金を支払わなければなりません。

そのため、できるだけ第一志望校の合否が判明したあとに入学手続きができる大学を併願先に選ぶことで、入学金の重複を防ぐことができます。なお、入学金は一度納付すると原則返金されないため、その点も注意してください。

試験日程が近い大学を併願する

地方から都市部の大学を受験する場合、試験日程が近い大学をまとめて受験することで、交通費や宿泊費を1回分にまとめることが可能です。たとえば、11月初旬の連続した3日間で東京の3大学を受験できれば、新幹線往復1回とホテル3泊だけで済みます。

受験の日程を考えるときは各大学の試験日をカレンダーに書き出し、なるべく往復の回数を減らせるよう、計画的にスケジュールを組むことが大切です。移動の回数を減らすことは、交通費の節約だけでなく、入試本番に向けて受験生本人の体力を温存することにもつながります。

親戚や知人の家に宿泊させてもらう

遠方の大学を受験する際、近くに親戚や知人が住んでいる場合は宿泊させてもらえないか相談するのも選択肢の一つです。 宿泊費を大幅に抑えられる可能性があります。

ただし、受験生にとって最優先すべきは、いつも通りのリラックスした環境で過ごせるかどうかです。 試験前日は緊張しやすく、他人の家だと気を遣って疲れてしまうケースも少なくありません。生活リズムを崩さない関係性かどうかを慎重に判断し、もしお願いする場合は、早めに相談して礼儀を尽くすようにしましょう。

総合型選抜を受けるのにかかる費用についてよくある質問


最後に、総合型選抜の費用に関するよくある質問を3つ取り上げます。

入学金の支払い時期はいつ?

合格発表後、1週間〜2週間以内に設定されているのが一般的です。非常に短い期間なので、合格発表と同時にまとまった費用をすぐ振り込めるよう、事前に準備しておく必要があります。振込先口座の情報や必要書類を、合格発表前の段階で確認しておくと安心です。

辞退をしたら入学金は返ってくる?

一度振り込んだ入学金は、いかなる理由があっても返還されないのが原則です。入学金は入学する権利を確保するためのお金であるためです。複数校に合格して入学金を複数納付したあとに最終的に1校を選ぶ場合、選ばなかった大学の入学金分はすべて持ち出しになることを理解しておきましょう。

併願の割引制度はある?

一般入試でよく見られる、複数学部を併願することで受験料が割引になる制度は、総合型選抜ではほとんど見られません。総合型選抜は学部ごとに独自の選抜を行うため、基本的には1つの出願につき1回分の受験料が必要です。ただ、一部の大学では同一大学の複数学部に出願した場合の優遇制度があるため、志望校の募集要項で確認しておくと良いでしょう。

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総合型選抜には、受験料・入学金から交通費・宿泊費、塾代、資格取得費用まで、想像以上にさまざまな費用が発生します。トータルすると、対策費を含めて100万円を超えることも珍しくないのが実情です。出願校を絞る、入学金の納付期限を意識する、試験日程をまとめるといった工夫で、ある程度の節約は可能となります。

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