総合型選抜や学校推薦型選抜に挑戦するうえで、避けて通れないのが「志望理由書」です。とはいえ、何を書けばよいのか、どう書き進めればよいのかが分からず、手が止まってしまう人も少なくありません。志望理由書は、大学に自分自身を知ってもらうための大切な書類であり、書き方のコツをつかめば、説得力のある一枚に仕上げられます。

この記事では、志望理由書とは何かという基本から、大学側が見ている評価ポイント、書く前の準備、構成の型、合格者の例文、書くことがないときの対処法、よくある質問までを順番に解説します。はじめて志望理由書に取り組む方は、上から読み進めてみてください。

そもそも志望理由書とは?

志望理由書とは、総合型選抜や学校推薦型選抜などの入試で、受験生が「なぜこの大学・学部を志望するのか」を大学側に伝えるための書類です。単に志望動機を説明するだけの書類ではなく、これまでの経験から現在の関心、そして将来のキャリアビジョンまでを論理的につなげて示すことが求められます。学力試験の点数だけでは測れない受験生の熱意や論理的思考力などを評価するための重要な書類で、提出後の面接でも、この志望理由書の内容をもとに質問されることが多くあります。いわば、受験生自身を大学に知ってもらうための最初の自己紹介ともいえる存在です。

大学側が志望理由書で知りたいことや見ているポイント

大学が志望理由書を求めるのは、受験生がどのような考えで志望し、入学後に何を学びたいのかを知りたいからです。どのような点が見られているのかを理解しておくと、何を意識して書けばよいのかが見えてきます。ここでは、大学側が特に注目している3つのポイントを紹介します。

なぜこの大学・学部なのか

大学側は、同じ系統の数ある大学・学部のなかで、なぜ他校ではなく「この大学でなければならないのか」という必然性を、説得力を持って説明できているかを見ています。その大学だからこそ実現できることと、自分が探究したいテーマがどのように結びつくのかを、論理的かつ明確に示すことが求められます。特定の研究室やカリキュラム、留学制度など、その大学ならではの要素に触れながら書くと、志望の本気度がより伝わりやすくなります。

この大学・学部で何を学びたいのか

「〇〇学を学びたい」といった抽象的な願望ではなく、入学後にどの授業を履修し、どのゼミや研究室で、どんなテーマを探究したいのかまで具体的に書けているかが見られています。関心のある分野について、どこまで解像度を高く考えられているか、そして入学後に主体的に学びを深められそうかが問われます。大学のシラバスやゼミ紹介を調べ、具体的な授業名や研究内容に触れながら書くと、学ぶ意欲がはっきりと伝わります。

大学卒業後に何をしたいのか

大学での専門的な学びを経て将来どのような分野で活躍し、どんな社会課題の解決に寄与したいのかという具体的な卒業後のキャリアビジョンも見られています。ここで大切なのは、単なる理想論を語るのではなく、現在の社会の動向やニーズを踏まえたうえで現実的で社会的な意義のある目標を示すことです。あわせて、その目標を実現するために、なぜ今この大学で学ぶ必要があるのかという一貫性も意識したいところです。過去の経験、大学での学び、将来の展望がつながっていると、説得力のある志望理由書になります。

志望理由書を書く前にすべき準備

説得力のある志望理由書は、いきなり書き始めるのではなく、十分な準備をしてから取りかかることで書きやすくなります。ここでは、書き始める前にしておきたい3つの準備を紹介します。

自己分析をする

まずは、自分がこれまでどのような経験を積み、何を学び、どのような価値観を形成してきたのかを、時系列で棚卸ししてみましょう。そのうえで、なぜその学問分野に興味を持ったのか、きっかけとなった出来事を深く掘り下げて言葉にしていきます。さらに、自分の強みや解決したい社会課題を見つめ直し、それらが将来のビジョンとどう結びつくのかを整理しておくと、志望理由書の軸がはっきりします。自己分析は志望理由書の土台になる作業なので、時間をかけて取り組むことをおすすめします。

大学についてリサーチする

次に、志望する大学・学部の公式サイトやパンフレット、シラバスを読み込み、提供されている学びの仕組みを調べましょう。なかでもアドミッション・ポリシーは特に丁寧に読んでおきたい資料で、大学がどのような受験生を求めているのかを正しく読み解くことが大切です。大学が掲げる方針と、自分の関心や強みが重なる部分を見つけられると、志望理由に説得力が生まれます。

やりたいことと大学でできることの重なりを見つける

自己分析でわかった自分のやりたいことや探究したいテーマと、大学リサーチでわかった大学独自の強みやリソースを照らし合わせてみましょう。この重なりこそが、「なぜこの大学なのか」という問いに対する根拠になります。自分の関心と大学の特色が交わる点を具体的に言葉にできると、ほかの大学では代えがたい志望理由を組み立てられます。

志望理由書の書き方|構成の型を押さえよう

内部リンク▶︎志望理由書 書き方 高校生

志望理由書は、導入・きっかけ・志望理由・将来の展望という型に沿って書くと、論理の流れが整理されて伝わりやすくなります。導入(書き出し)で結論となる志望の核を示し、きっかけでその関心を持った原体験を語り、志望理由でなぜこの大学なのかを説明し、将来の展望で卒業後にどう活かすのかを描く、という構成が基本です。各段落で書く内容を明確にし、論理の飛躍がない一貫した文章に仕上げましょう。あわせて、誤字脱字や不適切な表現をなくし、文末表現を「です・ます」または「だ・である」のどちらかに統一するなど、基本的な形式ルールを守ることも大切です。

志望理由書の例文

内部リンク▶︎志望理由書 例文 大学

ここでは、実際に大学へ合格した方の志望理由書の例文を紹介します。導入・きっかけ・志望理由・将来の展望という型がどのように使われているかを意識しながら読んでみてください。

【例文:早稲田大学社会科学部(自己推薦入試)/約410字】

私は、「地球にいい世界」を創るには何が必要かという課題に取り組むなかで、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を調べました。それがきっかけで、UNHCRやUNICEFなどの国際機関の活動や、戦争や貧困のために人々が権利を奪われている現状を知り、国際問題への関心を強く持つようになりました。中学三年時には国際協力に関する講座に参加し、また国際的な平和会議で海外出身の代表の方と話す機会を得て、国境を越えて人権を保障し合うことの難しさを肌で感じました。この経験から、将来は国際社会の課題を伝える橋渡し役になりたいと思うようになりました。そのために大学では国際関係学を学び、2年次からは平和構築や難民問題の研究に取り組みたいと考えています。また、自分の意見を多くの人に届けるため、英語力と発信力の向上にも力を入れたいです。将来は国際機関やNGOなどで紛争や貧困の問題に取り組み、誰一人取り残さない社会の実現に貢献したいです。


この例文が高く評価されるのは、SDGsを調べた経験という具体的なきっかけから、国際関係学を学び平和構築や難民問題を研究したいという現在の関心、そして国際機関やNGOで活躍したいという将来像までが、論理的にまとめられている点です。「なぜ学ぶのか」「何を学ぶのか」「学んでどうしたいのか」がそろっているため、読み手に説得力を持って志望理由を伝えられます。さらに、抽象的な理想だけでなく、英語力や発信力の向上という具体的な行動目標まで書かれており、ここ本気度が伝わりやすい箇所です。

より多くの志望理由書の例文を参考にしたい方は、推薦入試情報プラットフォームの「未来図」がおすすめです。未来図では、実際に大学へ提出された合格者の志望理由書を5,000件、無料で閲覧できます。志望する大学・学部の先輩がどのように書いていたのかを知ることで、自分の志望理由書づくりのヒントが見つかるでしょう。

志望理由書に書くことがないときの対処法

実際に書き始めると、文字数が埋まらず手が止まってしまう人もいます。そんなときは、次の4つの方法を試してみると、書く材料が見つかりやすくなります。

自己分析を深掘りしてみる

なぜその学問に興味があるのかという問いに対して、さらに「なぜ?」を何度も繰り返して自問自答してみましょう。特別な実績を探す必要はありません。日々の授業で面白いと感じた瞬間や部活動での葛藤、読んだ本の感想など、日常の小さな心の動きに焦点を当ててみると、思わぬ気づきが得られます。自分の長所や短所、これまでの人生で感情が動いた出来事をリストアップし、それらが志望する学問分野とどう結びつくのかを振り返ってみると、書く材料が見えてきます。

志望大学のシラバスを見てみる

大学のパンフレットの紹介文だけでなく、実際の授業内容が詳しく記載されたシラバスにも目を通してみましょう。授業のテーマや毎週の授業計画、使用する教科書や参考書を知ることで、「これなら自分の関心と一致している」「これを学んでみたい」という具体的なヒントが見つかります。気になった授業名を引用し、その授業のどこに惹かれたのかを書くと、具体的で説得力のある志望理由書に仕上げやすくなります。シラバスは多くの大学が公式サイトで公開しているので、ぜひ活用してみてください。

親や友達に相談してみる

自分一人での自己分析に行き詰まったら、自分をよく知る家族や先生、友人に手伝ってもらうのも一つの方法です。第三者の視点から見てもらうことで、自分では見落としていた意外な長所やアピールできるエピソードを発見できることがあります。人に話しながら考えを整理すると、頭のなかが言語化され、書く手がかりがつかめます。

最近のニュースや社会問題について調べてみる

志望する分野に関連する最新のニュースや新書、白書などを調べて、現代社会が今どのような課題を抱えているのかをリサーチしてみましょう。そのうえで、その課題に対して自分はどのようなアプローチで貢献したいのかを具体的に考えてみると、将来の展望に厚みが出ます。社会とのつながりを意識した志望理由書は、入学後の学びへの意欲が伝わりやすくなります。

志望理由書に関するよくある質問

最後に、志望理由書についてよく寄せられる質問にお答えします。

志望理由書を書いたら添削してもらったほうが良い?

できるだけ第三者に添削を依頼することをおすすめします。自分では気づきにくい誤字脱字や、文脈の不自然さ、論理の飛躍などを、客観的な視点から見つけてもらえるためです。学校の先生や塾の講師など、入試をよく知る人に読んでもらうと、より具体的なアドバイスが得られます。書き上げて満足するのではなく、何度か見直して磨き上げていくことが大切です。

志望理由書は何割くらい埋めれば良い?

特別な指示がない限り、指定された文字数の9割以上を埋めることが望ましいとされています。余白が目立つ書類は、熱意が低いという印象を与えかねないためです。ただし、文字数を埋めることだけを目的にして内容が薄くなってしまっては本末転倒です。伝えたいことを具体的に書き込んでいけば、自然と必要な文字数に近づいていきます。

志望理由書と自己推薦書は何が違う?

志望理由書は、大学への入学意欲や何を学びたいかを伝える書類であるのに対し、自己推薦書は、自分の強みや実績をアピールする書類です。両者は役割が異なるため、両方の提出を求められる場合は、内容がまるごと同じにならないように注意しましょう。志望理由書では学びたいことを、自己推薦書では自分の強みを、それぞれ分けてアピールすると、書類全体で自分を立体的に伝えられます。

まとめ|志望理由書は準備と型で説得力が変わる

志望理由書は、なぜこの大学で学びたいのかを論理的に伝える書類で、総合型選抜や学校推薦型選抜の合否を大きく左右します。本記事で紹介したように、自己分析と大学リサーチを丁寧に行い、導入・きっかけ・志望理由・将来の展望という型に沿って書くことで、説得力のある一枚に仕上げられます。書くことが思いつかないときも、自己分析の深掘りやシラバスの確認など、対処法はいくつもあるので、焦らず取り組んでみてください。

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