慶應義塾大学SFC(総合政策学部・環境情報学部)に9月入学できるAO入試は、冬AO(GIGA)と春AOの2つです。2027年9月入学なら、冬AOは2026年12月8日から2027年1月22日まで、春AOは例年どおりなら2027年5月から6月に出願を受け付けます。冬AOは英語の書類と3分の英語動画だけで選考し、春AOは日本語か英語の書類とSFCでの面接で選考します。
志願者はこの2年で約2倍に増えました。総合政策学部は2024年入学の157人から2026年入学の318人へ、環境情報学部は170人から322人へ(2026冬AO募集要項 付録より)。
春AOの9月入学枠はさらに狭く、合格者は毎年8〜13人です。2021〜2024年の倍率は6.7〜14.1倍でした(2026春AO募集要項「AO入試選考結果・統計」から算出)。
「面接がない冬AOは穴場」という見方も、「日本語で受けられる春AOなら入りやすい」という見方も、数字の上では通用しません。
この記事は、2026年9月11日に公開された最新の募集要項を全ページ確認したうえで、推薦入試を専門に指導する立場から書いています。制度の説明で終わらせず、日本の高校に通う受験生が実際につまずく出願資格・卒業時期・入学までの半年の空白まで扱います。同じく9月に入学できる春AOとの違いと使い分けも比較します。
.png)
慶應SFCのGIGAプログラムとは?英語で学位が取れる総合政策・環境情報学部のプログラム
GIGAプログラムは、英語の授業だけで学部を卒業できる、慶應義塾大学で最初の英語学位プログラムです。正式名称は Global Information and Governance Academic Program(グローバル・インフォメーション・アンド・ガバナンス・アカデミック・プログラム)。2011年9月に環境情報学部で始まり、2015年度から総合政策学部にも広がりました(慶應義塾大学「総合政策学部・環境情報学部 GIGAプログラムについて」2026年3月)。
GIGAの成り立ちと2つのサティフィケート
GIGAには、修了時にもらえるサティフィケート(プログラム修了証)が2種類あります。どちらを目指すかで、履修する先端科目(専門科目)の系統が変わります。
種類 | 目指す人材像 | 先端科目の要件 |
|---|---|---|
GIGA-Governance | 国際的な視野で問題解決に動き、新しい機会をつくる人材 | 総合政策系から10単位以上 |
GIGA-Information | 情報通信技術で新しいサービスやものを生み、社会の課題を解決する人材 | 環境情報系から10単位以上 |
どちらも共通して、基盤科目(全学生が学ぶ土台の科目)のうちサティフィケート要件科目を30単位以上取る必要があります。

総合政策学部と環境情報学部、どちらで出願するか
迷ったら、自分の問いを「何で解くか」で選んでください。
2026冬AOの募集要項は、両学部の違いをはっきり書き分けています。総合政策学部は政策・法・戦略・マネジメント・ガバナンス(統治の仕組み)の視点から問題を解き、環境情報学部はテクノロジー・デザイン・道具・工夫・アートを使って解く、という整理です(2026冬AO募集要項 p.1)。
冬AOでは、同じ年度に両学部へ出願できません。たとえば「地域の高齢者の移動」に関心があるなら、交通政策や制度設計に踏み込みたい人は総合政策、移動支援のアプリや機器をつくりたい人は環境情報が合います。筆者は、エッセイの学習計画が自然に書ける側を選ぶよう勧めています。
GIGAの科目は入試方式に関係なく履修できる
ここが、上位の解説記事でほとんど触れられていない点です。
大学の案内では、総合政策学部・環境情報学部の学生は、学部・学年・入試形態にかかわらずGIGAプログラムの科目を履修でき、事前に申請して要件を満たせばサティフィケートを取得できるとされています。
つまり冬AOは「GIGAへの入学試験」というより、「英語だけで出願から合否まで完結する入試方式」と捉えるほうが正確です。日本語で自分の考えを深く語れる国内の高校生なら、面接のある春AOや夏秋AOで入学してGIGAの科目を取る道も比較の候補に入ります。
入学方式による違いは、履修できる科目ではなく、サティフィケートの外国語要件に表れます。冬AOで入学した学生には、日本語の試験に合格する条件が追加されます(次の項目で説明します)。
2026年4月入学者から変わったサティフィケート要件
2026年4月以降に入学する学生からは、修了証の名称が「GIGA Distinction Certificate」になりました。大学は、2025年度以前の要件とは異なる点に注意するよう呼びかけており、新たに外国語要件が加わっています。
新しい外国語要件は次のとおりです。
対象 | 外国語要件 |
|---|---|
全員 | TOEFL iBT 100点(PBT換算600点)またはIELTS 7.0以上 |
冬AO、またはほかのAO入試で「入学手続きに使う言語を英語」にして入学した学生 | 上記に加えて、日本語能力試験N2の合格 |
N2は、未受験や不合格でも外国語要件を満たしたと認められる場合があるとされています。英語だけで学位は取れますが、修了証まで目指すなら日本語の学習も計画に入れておく必要があります。
サティフィケートの対象科目は、科目名に「(GG)」と付くものがGIGA-Governance、「(GI)」と付くものがGIGA-Informationの要件科目です。申請は外国語要件を満たした時点で行い、両方のサティフィケートを取ることもできます。
古い年度の情報をもとに「GIGAを修了すれば英語の修了証がもらえる」とだけ書いている記事は、この変更を反映していません。
日本語のAO入試も視野に入れる人は、志望理由の組み立て方が共通する志望理由書の基本的な構成と文字数の配分もあわせて確認してください。
9月入学の入試は冬AOと春AO|2027年9月入学の日程・募集人数・倍率
2027年9月入学を狙えるAO入試は、2026冬AO(締切2027年1月22日15:00)と2027春AO(例年5〜6月出願)の2つです。冬AOは募集約50名で、直近の倍率は3.7〜5.3倍。春AOの9月入学枠は合格者が年8〜13人で、倍率は冬AOをさらに上回ります。
2026冬AO(2027年9月/2028年4月入学)の日程と検定料
日時はすべて日本時間です。海外から出願する場合も日本時間が基準になります。
手続き | 日程 | 補足 |
|---|---|---|
Web出願・検定料の納付 | 2026年12月8日(火)11:00〜2027年1月22日(金)15:00 | 出願システム「TAO」で行う |
審査状況の確認 | 2027年2月17日11:00以降 | 受験番号が付けば正式に受理・審査中 |
検定料の返金申請期限 | 2027年2月24日 | 特別な事情がある場合のみ |
合格発表 | 2027年3月12日11:00 | TAO上でのみ発表 |
検定料は35,000円で、TAOでのクレジットカード払いが基本です(国内からの支払いは他の方法も選べます)。出典:慶應義塾大学 冬AO公式案内、2026冬AO募集要項 p.7・p.18〜19。
古い解説記事には「出願は2月、発表は3月下旬」と書かれているものが残っています。今回の日程とは1か月以上ずれるので注意してください。
2027春AO(2027年9月入学)の日程の見込み
春AOの募集要項は例年1月中旬に公開されます(2026春AOは2026年1月19日)。2026春AOの実績から見込むと、2027春AOの日程は次のようになります(2026春AO募集要項)。
手続き | 2026春AOの実績 | 2027春AOの見込み |
|---|---|---|
要項の公開 | 2026年1月19日 | 2027年1月中旬 |
オンライン申請 | 5月11日〜6月3日 | 2027年5月中旬〜6月上旬 |
1次選考の合格発表 | 7月9日 | 2027年7月上旬 |
2次選考(面接) | 7月18日 | 2027年7月中旬 |
合格発表 | 7月22日 | 2027年7月下旬 |
検定料は2026春AOで35,000円(事務手数料500円は別)でした。冬AOの合格発表(3月12日)のあとに春AOの出願が始まるため、両方を受ける日程が組めます。
募集人数と選考方法(面接なし・書類と動画で審査)
募集人数は約50名、総合政策学部と環境情報学部が各25名です。
選考は提出書類だけで行い、面接は実施しません。3分間の英語プレゼン動画も「提出書類の一つ」という扱いです。来日の必要はなく、出願から手続きまで英語で完結します。
入学時期は2027年9月か2028年4月を選べます。大学は、日本語で授業を受けられる水準に達していない場合は9月入学を強く勧めています(募集要項 p.5)。
春AOは選考の仕組みが違います。1次選考は書類審査、2次選考はSFCでの約30分の面接で、最終合否は1次選考の評価とあわせて判定されます。募集人員は、春AOと夏秋AOをあわせた年間のAO入試全体(4月入学と9月入学の合計)で各学部150名です。
冬AOの志願者・合格者数の推移(2021〜2026年)
倍率の推移は、募集要項の付録に載っている志願者数と合格者数から計算できます。倍率は「志願者数 ÷ 合格者数」で当方が算出しました。
入学年 | 総合政策 志願者 | 総合政策 合格者 | 総合政策 倍率 | 環境情報 志願者 | 環境情報 合格者 | 環境情報 倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
2026 | 318 | 60 | 5.3倍 | 322 | 87 | 3.7倍 |
2025 | 249 | 82 | 3.0倍 | 277 | 57 | 4.9倍 |
2024 | 157 | 61 | 2.6倍 | 170 | 50 | 3.4倍 |
2023 | 118 | 58 | 2.0倍 | 136 | 52 | 2.6倍 |
2022 | 114 | 48 | 2.4倍 | 157 | 55 | 2.9倍 |
2021 | 165 | 43 | 3.8倍 | 205 | 38 | 5.4倍 |
出典:2026冬AO募集要項 付録「Admissions Statistics」。入学年ベースの数字のため、たとえば「2026年」は2025年度に実施された冬AOの結果です。
読み取れることは2つあります。
1つ目は、志願者の急増です。総合政策学部は2023年入学の118人から2026年入学の318人へ、3年で約2.7倍になりました。
2つ目は、合格者数が募集人数の約25名を毎年大きく上回り、年によって38〜87名と幅があることです。定員で機械的に絞るより、一定の水準に達した志願者を合格させていると読める数字です。そのため筆者は、倍率の数字そのものより「合格水準に届く書類をつくれるか」で出願を判断するよう勧めています。

春AOの9月入学枠と比べると、冬AOの合格者数は桁が違います。2024年入学では、春AOの9月入学枠が87人中13人合格(6.7倍)だったのに対し、冬AOは327人中111人合格(2.9倍)でした。年度ごとの比較は、後半の章「9月入学のもう一つのルート「春AO」」にまとめています。
9月入学できる3つのルート|冬AO・春AO・夏秋AOの比較
慶應SFCで9月に入学できるのは、冬AOだけではありません。SFCは一般選抜・春/夏秋AO・冬AO(GIGA)の3種類、年4回の入試を用意しており、春AOと夏秋AOでも9月入学を選べます(SFC入試情報)。
比較項目 | 冬AO(GIGA) | 春AO | 夏秋AO |
|---|---|---|---|
出願言語 | 英語のみ | 日本語/英語 | 日本語/英語 |
出願期限の目安 | 1月下旬 | 6月初旬 | 9月初旬 |
合格発表の目安 | 3月中旬 | 7月下旬 | 11月初旬 |
入学時期 | 同年9月/翌年4月 | 同年9月/翌年4月 | 翌年4月/翌年9月 |
選考方法 | 書類と動画(面接なし) | 書類選考+面接 | 書類選考+面接 |
面接の場所 | なし | 日本国内で対面 | 日本国内で対面 |
出典:SFC入試情報(入試実施年度2025年度の表)、冬AO公式案内。時期は例年の目安です。
2026年10月時点で2027年9月入学を狙えるのは、2026冬AO(2027年1月22日締切)と、2027年6月に締切を迎える春AOの2つです。
筆者の判断基準はシンプルです。英語で書いた文章と動画で勝負できる人は冬AO、日本語でも英語でも対面で語る力がある人は春AO・夏秋AOが向いています。
注意したいのは、春AOには日本の高校に在籍中の高校3年生が出願できない点です。春AOの出願資格、日程、9月入学枠の倍率、冬AOとの使い分けは、後半の章「9月入学のもう一つのルート「春AO」」で詳しく解説します。
帰国生入試・留学生入試の終了で何が変わったか
総合政策学部・環境情報学部の帰国生対象入試と外国人留学生対象入試は、2025年度の実施をもって終了しました。大学は、帰国生入試で使っていた統一試験の成績やTOEFL・IELTS、留学生入試で使っていた日本留学試験の結果を、AO入試の出願資料として提出できると案内しています(SFC入試情報、帰国生対象入学試験の募集停止について)。
帰国生の受け皿は、春AO・夏秋AO・冬AO・一般選抜の4つに移りました。
冬AOの志願者増が帰国生入試の終了によるものかは、数字だけでは断定できません。増加は帰国生入試が終わる前の2025年入学の時点で始まっているからです。ただ、帰国生入試を予定していた層の一部が今後冬AOに流れることは十分考えられます。2027年入学の数字が出たら、改めて確認する価値があります。
出願資格|日本の高校生は冬AO・春AOに出願できる?
冬AOには、日本の高校に在籍中でも出願できます。ただし、日本語で授業を受ける一般的な高校に通っているなら、SAT・ACT・IB・A-Levelのいずれかと、TOEFL・IELTSなどの英語試験の両方が必要です。春AOは逆に、入学までに高校を卒業していることが条件のため、在籍中の高校3年生は出願できません。
6つの出願資格区分の早見表
出願者は、次の6区分のうち少なくとも1つを満たす必要があります(2026冬AO募集要項 p.8〜9)。
区分 | 内容(要約) |
|---|---|
(1) | 12年以上の正規の教育を修了(見込み)し、中等教育の最後の3年間のうち2年以上を日本語以外の言語で受けた |
(2) | 12年以上の正規の教育を修了(見込み)し、SAT・ACT・IB・A-Level等のいずれかと、英語試験の結果を両方提出できる |
(3) | ベラルーシ・カザフスタン・ミャンマー・ペルー・ロシア・スーダン・ウクライナ・ウズベキスタンの教育制度で11年の課程を修了(見込み) |
(4) | 国際バカロレア(IB)資格、アビトゥア、バカロレア、GCE A-Level等を取得(見込み) |
(5) | GEDや高等学校卒業程度認定試験などに合格し、入学日までに18歳以上 |
(6) | 大学の個別審査で(1)〜(5)と同等と認められ、入学日までに18歳以上 |
「見込み」の場合は、入学日までに要件を満たさなければ入学が取り消されます。
区分(6)や、11年課程で(3)の国に当てはまらない場合などは、出願開始の1か月前までに大学への問い合わせが必要です。2026冬AOなら、2026年11月8日ごろが目安になります。

国内高校生はSAT等の標準試験と英語試験の両方が必要
日本語で授業を行う日本の高校に通っている人は、区分(2)で出願するのが基本です。
要項の早見表では、文部科学省が認める日本の学校の出身者のうち、最後の3年間のうち2年以上を日本語以外で学んでいない人は、SAT・ACT・IB・A-Level等の提出が必須とされています。標準試験は多くの区分では「強く推奨」の扱いですが、日本語で授業を受ける国内の高校の出身者にとっては必須です(募集要項 p.8・p.16)。
英語試験だけで準備を終えてしまうのが、国内生に最も多い失敗です。
SATは受験日が限られ、結果が出るまでに時間もかかります。筆者は、国内生にはエッセイより先にSATの受験計画を立てるよう指導しています。
2026冬AOの締切(2027年1月22日)に間に合うSATは、残り2回です。
試験日 | 申込締切 | スコア公開 |
|---|---|---|
2026年11月7日 | 2026年10月23日 | 2026年11月20日 |
2026年12月5日 | 2026年11月20日 | 2026年12月18日 |
日程は、College Boardの公表日程をまとめた各種情報(2026年10月時点)によるものです。申し込み前にCollege Boardの公式サイトで確認してください。12月の回は再受験の余地がないため、初回は11月に受けるのが安全です。
なお、高校の調査書は、卒業証明書や成績証明書の代わりとして提出します。
2028年3月に卒業予定の国内高校生は今回は対象外
今回の冬AOでは「2028年4月入学」も選べますが、2027年10月以降に日本の高校・中等教育学校を卒業見込みの人は出願できません。高専3年の修了見込みも同じ扱いです(募集要項 p.9 IMPORTANT NOTES V・VI)。
整理すると次のとおりです。
2026年10月時点の学年 | 卒業予定 | 2026冬AO(2027年9月/2028年4月入学) |
|---|---|---|
高校3年生 | 2027年3月 | 出願できる |
高校2年生 | 2028年3月 | 出願できない(次回の冬AOが最短) |
現在の高校2年生は、次の冬AO(2027年冬ごろ出願・2028年9月入学)が最初のチャンスです。逆に言えば、準備期間は1年以上あります。この1年をSATと英語試験のスコア取得にあてるのが、筆者の推奨する進め方です。
冬AOの出願期間は、ここ数年12月上旬から1月下旬で推移しています(2026冬AOは2026年12月8日〜2027年1月22日、2021年度は2021年12月14日〜2022年1月27日)。募集要項は例年9月に公開されます(2026冬AOは9月11日)。この流れが続けば、次回は2027年9月ごろに要項が公開され、2027年12月から2028年1月に出願する見込みです。
英語試験の扱い(最低点なし・2年以内・使えない試験)
英語試験には最低基準点がなく、合格者の平均点も公表されていません。
使える試験と注意点は次のとおりです(募集要項 p.15〜16)。
試験 | 使えるもの | 使えないもの |
|---|---|---|
TOEFL | iBT、Home Edition、Paper Edition | ITP |
IELTS | 通常の試験(Indicatorも可) | One Skill Retake |
TOEIC | 公開テスト | IP |
その他 | 国連英検、英検 | Duolingo(高校の認証がない場合) |
受験日は出願締切から2年以内である必要があります。英語が第一言語の人や、英語で授業を行う高校の出身者は、英語試験の提出が不要です。
最低点がないことは、低いスコアでも評価に響かないという意味ではありません。英語で書いたエッセイと動画で審査される入試なので、スコアは書類の英語力を裏づける材料として読まれます。
参考までに、IBで冬AOに合格した受験生は、体験談の中でIBスコアは36〜37点以上が望ましいという個人的な感覚を語っています(Univ-it! 合格体験談)。あくまで一人の受験生の感覚で、大学の基準ではありません。
春AOの出願資格(卒業後なら日本語で受けられる)
春AOの資格は、冬AOとは考え方が違います。教育歴の区分ではなく、「入学までに高校を卒業していること」と「SFCを第一志望とすること」が中心です(2026春AO募集要項 p.10)。
条件 | 内容 |
|---|---|
学歴 | 高校を卒業済み、または入学までに卒業見込み。4月入学希望の場合、出願した年の10月以降に日本の高校を卒業見込みの人は不可 |
志望 | 総合政策学部・環境情報学部のいずれかを第一志望とする |
語学 | 大学教育を受けるのに十分な日本語力か英語力 |
評定・スコア | 出願条件としての基準はなし |
年齢 | 上限なし |
SATなどの標準試験は求められません。出願書類を英語で作る場合、英語を第一言語としない人はTOEFL・IELTS・英検などの結果(出願締切から2年以内)を提出しますが、最低点はありません。
冬AOでSATを準備できなかった国内生も、卒業後の春AOなら日本語で勝負できます。
提出書類と選考の仕組み|冬AOと春AOで準備するもの
冬AOの提出物は全部で12種類あり、中身を自分でつくるのはそのうち4つです。残りは学校・評価者・試験機関に動いてもらう書類で、自分の努力だけでは締切に間に合わせられません。準備は「誰がやるか」で分けて管理してください。
自分でつくる書類(Personal Statement・動画・活動報告・任意資料)
合否を左右するのは、この4つです(2026冬AO募集要項 p.11〜13)。
書類 | 形式・分量 | 必須/任意 |
|---|---|---|
Personal Statement(志望理由・学習計画など) | 英文エッセイ4,000文字以内(スペース込み、約800語)と、スライド(A4またはレターサイズのPDF)2ページ以内の両方 | 必須 |
3分間の英語プレゼン動画 | mp4形式、50MB以内。冒頭で氏名を言い、顔を映す | 必須 |
List of Achievements(活動報告) | 「最も大きな成果とその理由」の自己評価欄が必須(スペース込み400文字以内、約75語)。活動記録は最大10件まで任意 | 自己評価欄は必須 |
Optional Materials(任意提出資料) | 最大10点。PDF・JPEG・動画。各資料に400文字以内(約80語)の説明を付ける | 任意 |
ほかに、証明写真とパスポートの顔写真ページも本人がアップロードします。
任意資料には推薦状も含められます。その場合は推薦者の署名か公印が必要です。授業で書いたレポートを出すときは、A4またはレターサイズ1枚に要約し、課題を出した先生の評価・コメントを添えます。
学校・評価者に依頼する書類(国内高校は調査書)
依頼先が動かないと出願が完了しない書類です。
書類 | 担当 | 注意点 |
|---|---|---|
志願者評価(Applicant Evaluation Forms) | 評価者2名 | 推薦状ではなく評価。本人を客観的に評価できる人で、1親等・2親等の親族は不可。英語か日本語でTAOに入力 |
卒業(見込み)証明書 | 高校 | 日本の高校は調査書で代用 |
成績証明書 | 高校 | 日本の高校は調査書で代用 |
School Profile(所定様式) | 高校 | 5ページ以内。カリキュラム、生徒の標準試験スコア、過去3年の進学先などを記載 |
英語試験・標準試験のスコア | 本人がアップロード | 合格後、TOEFL・SAT等は試験機関から大学へ公式スコアを直送 |
卒業証明書・成績証明書・School Profileの3点は、アップロードする人を書類ごとに選べません。3点とも学校が出すか、3点とも本人が出すかのどちらかです。証明書類は出願締切から約3か月以内に発行されたものが必要です(募集要項 p.6・p.13〜15)。
国内の高校の多くは、School Profileという書類に慣れていません。進路指導の先生に要項の該当ページと様式を見せ、何を書く書類なのかを説明するところから始まります。筆者は、出願開始の2か月前には依頼を済ませるよう勧めています。
「面接がない」は「挽回の場がない」|形式不備で失点する4つのポイント
面接があれば、書類で伝えきれなかったことを口頭で補えます。冬AOにはその機会がありません。
要項には、形式を外すとその部分が読まれない、または出願自体が受け付けられないと明記された規定があります(募集要項 p.6・p.12〜13)。
- 動画は3分15秒を超えた部分が審査されない
- スライドは3ページ目以降が審査されない
- 書類に書いたURLなどの外部リンク先は審査されない(ウェブ上の成果はPDF・JPEG・動画にして提出する)
- 書類の不備、期限後の提出、検定料の未納がある出願は受け付けず、締切後の追加提出も原則認めない
どれも中身の良し悪しとは関係なく、確認すれば防げる失点です。
生成AIの扱い(要項の明記事項)
2026冬AOの要項は、生成AIの扱いを独立した項目で定めています。出願準備の補助としてAIを使うことは認める一方で、AIが生成した活動報告の自己評価・Personal Statement・任意資料は本人独自の成果物とみなさない、という内容です(募集要項 p.5「Using Generative Artificial Intelligence (AI)」)。
筆者の線引きは明確です。AIを使うのは、調べものと、構成について考えを整理する相手まで。英文は自分で書き、自分で直します。
第三者による英文添削や翻訳をどこまで使ってよいかは、要項に具体的な記載がありません。判断に迷う場合は、依頼したい作業の中身を具体的に書いて、入試窓口(ao-overseas@sfc.keio.ac.jp)に確認してください。
春AOの提出書類(冬AOとの違い)
春AOの書類は、骨格は冬AOと同じで、動画がなく郵送書類がある点が違います(2026春AO募集要項 p.17〜28)。
書類 | 春AOでの形式 |
|---|---|
志望理由・入学後の学習計画・自己アピール | 文章(日本語2,000字以内、英語なら4,000字以内)と、自由記述(A4で2枚以内、1つのPDF) |
活動報告 | 自己評価の欄は日本語200字以内、英語なら400字以内。最もアピールしたい活動に「◎」を各項目3つまで |
志願者評価 | 2名(2親等内の親族は不可)。日本語か英語で入力 |
任意提出資料 | 最大10点(1ファイル10MB以下、合計50MB以下) |
調査書 | 高校で厳封したものを郵送。成績証明書では代えられない |
入学志願票 | 2枚を印刷し、自筆欄を記入して郵送 |
出願書類の言語(日本語か英語)は、最初に選んだら変更できません。郵送は国内なら「簡易書留速達」で、締切日の消印有効です。オンライン申請だけで終わったと思い込み、郵送を忘れるのが春AOで最も避けたい失敗です。
1次選考の免除制度や、冬AOとの全項目の比較は、後半の春AOの章で一覧にしています。
出願書類と面接の対策|エッセイ・スライド・3分動画・春AOの面接
差がつくのは、過去の実績の大きさではなく入学後の計画の具体性です。要項は、Personal Statementで「SFCでの学業・活動の計画」に特に重点を置くよう求めています。エッセイ・スライド・動画の3つすべてを、この計画に向けて組み立ててください。春AOでも、志望理由・入学後の学習計画・自己アピールを書く点は変わりません。
Personal Statementで問われる4要素
要項が指定する要素は次の4つです。どの要素をエッセイに書き、どれをスライドに載せるかは、出願者が自由に決められます(2026冬AO募集要項 p.12)。
要素 | 問われていること |
|---|---|
A. Statement of purpose(志望理由) | なぜ総合政策学部(または環境情報学部)に出願するのか |
B. Study plan(学習計画) | 入学後に何をするか(分野、授業、研究会、取り組みたい研究プロジェクト)と、その理由 |
C. Self-presentation(自己アピール) | SFCにどんな貢献ができるか |
D. Future plans(将来計画) | やりたいこと、夢、挑戦したいこと |
重点はBです。
AとCは、Bを実行できる人物だと示すための材料として書くと、文章全体に一本の筋が通ります。
エッセイとスライドの役割分担
エッセイとスライドに同じことを書くと、限られた分量を二重に使うことになります。筆者が勧める分担は、エッセイに「問いの筋道」、スライドに「証拠と計画の図解」を置く形です。
IBで冬AOに合格した受験生は、スライドの1ページ目に課外活動や受賞歴、2ページ目に入学後にやりたいことを7段階ほどのプロセスに分けて載せ、エッセイと内容が重ならないようにしたと語っています(Univ-it! 合格体験談)。
エッセイは次の順で組み立てると、学習計画まで無理なくつながります。
- 問題に気づいた具体的な場面(いつ、どこで、何を見たか)
- 自分が実際にやったこと(調査、試作、活動)と、その結果
- やってみて分かった限界(今の自分には何が足りないか)
- SFCで補いたい知識と方法(どの授業・研究会で、何を学ぶか)
- その先に実現したいこと
4つ目では、研究会や授業の名前を並べるだけで終わらせないでください。自分の問いにその授業がなぜ必要なのかまで書いて、初めて学習計画になります。
授業を探すときは、SFCのシラバスで科目名に「(GG)」「(GI)」が付いた科目を手がかりにしてください。これがGIGAサティフィケートの対象科目で、英語で開講されるGIGAの中心的な授業です。研究会は開講状況や担当教員が年度で変わるため、出願直前の年度の情報で確認します。
字数は「4,000文字(スペース込み)」が上限です。約800語はあくまで目安なので、最終稿は語数ではなく文字数で数えてください。
3分動画の構成と撮影の注意点
動画は、氏名と顔を最初に見せることが条件です。
要項は、撮影技術や画質は評価しないと明記しています。形式も口頭の説明に限りません(募集要項 p.13)。凝った編集より、聞き手が一度で話を追えるかどうかに時間を使ってください。
筆者が勧める時間配分は次のとおりです。
時間 | 話す内容 |
|---|---|
0:00〜0:15 | 氏名、顔、自分が取り組みたい問いを一文で |
0:15〜1:15 | その問いに向き合った経験 |
1:15〜2:30 | SFCで何を、どう学ぶか(学習計画) |
2:30〜3:00 | 将来やりたいこと |
原稿は400語前後が目安です。前述の合格者は443語の原稿で3分に収めたと話しています(Univ-it! 合格体験談)。
よくある失敗は、エッセイをそのまま読み上げることです。書き言葉の英文は、耳で聞くと長すぎて追えません。動画用には、一文を短く切った話し言葉の原稿を別につくってください。
アップロードした後は、映像と音声が最後まで再生されるかを必ず自分で確認しましょう。

活動報告・任意資料で「一貫性」を見せる
活動報告で必須なのは、最も大きいと感じる成果と、その理由を書く自己評価欄(スペース込み400文字以内)だけです。ここで選ぶ成果は、エッセイの問いとつながるものにしてください。
前述の合格者は振り返りの中で、興味のある領域に一貫して取り組んでいることをもっと意識すればよかったと語っています。
任意資料は最大10点ですが、数を埋める必要はありません。要項は重要な順に並べるよう指示しています。主張を裏づける資料だけを選び、1点目には最も伝えたい成果を置く。それで十分です。
エッセイの骨組みは、日本語の志望理由書と共通する部分が多くあります。書き出しで迷ったら志望理由書の書き出し5パターンを、書類全体を第三者に見てもらいたい人はリザプロの推薦入試対策コースの無料カウンセリングを利用してください。

春AOの書類と面接の対策(約30分・SFCで対面)
春AOの志望理由の文章は、日本語なら2,000字以内です。冬AOの英文4,000字(約800語)を訳すだけでは、字数も論点も収まりません。日本語で書く場合は、問いに気づいた経験・SFCで学ぶこと・その先の計画の3点に絞って、最初から書き直してください。A4で2枚の自由記述は、冬AOのスライドと同じく、証拠と計画の図解に使えます。
2次選考の面接は、SFCで約30分です。言語は「日本語」「英語」「どちらでも可」から出願時に選びます(2026春AO募集要項 p.8)。
最終合否は、1次選考の評価とあわせて判定されます。面接は書類と切り離された別の試験ではありません。
筆者は、面接の準備を「提出した書類の説明責任を果たす練習」と位置づけています。具体的には次の3つです。
- 提出した書類を読み返し、学習計画の「なぜその授業か」「どう調べるか」「何がまだ分かっていないか」を自分の言葉で言えるようにする
- 活動報告で「◎」を付けた活動について、自分が判断した場面を具体的に話せるようにする
- 冬AOも受けた人は、3分動画で話した構成を、面接冒頭の自己紹介に流用する
面接で挽回できるのが春AOの強みです。それを生かせるかどうかは、書類に書いたことをどこまで深く話せるかで決まります。
出願から入学までの準備スケジュール|逆算カレンダー
準備は、出願締切(2027年1月22日)の1年前に始めるのが安全です。いちばん時間を食うのはエッセイではありません。スコアの取得と、学校・評価者への依頼です。
出願1年前〜半年前:資格区分の確定とスコア取得
最初にやるのは、自分がどの出願資格区分に当たるかの確定です。国内の高校生なら区分(2)になり、SAT等の標準試験と英語試験の両方が必要になります。
受験日・結果の発表日・スコアレポートの取得日を並べて、出願期限までに提出できるかを確かめてください。区分が分からない場合や、要項にない英語試験を使いたい場合は、出願開始の1か月前(2026冬AOなら2026年11月上旬)までに大学へ問い合わせます。
出願3か月前:学校・評価者への依頼
9〜10月の時点で、次の3つを済ませておきます。
- 高校への調査書とSchool Profileの依頼(要項の該当ページと様式を添えて)
- 評価者2名の確保と内諾
- 活動の証拠になる写真・記録・発表資料の収集
評価者のメールアドレスは、TAOに早めに登録してください。登録すると評価者にメールが届き、評価者がTAO上で入力します。冬休みに入ると高校の先生と連絡が取りにくくなります。
出願期間中:TAOで「Application Completed」まで確認
出願は、すべての欄を埋めて資料をアップロードし、検定料を払った後、「content confirmation」ボタンを押して完了します。表示が「Application Completed」に変わったことまで確認してください(募集要項 p.18)。
支払いだけ済ませて安心するのは危険です。
合格後:9月入学の手続きと、国内生の「半年の空白」
合格後の手続きは、入学時期によって時期が大きく違います(募集要項 p.20)。
手続き | 2027年9月入学 | 2028年4月入学 |
|---|---|---|
学費の納入 | 2027年4月1日〜5月7日 | 2028年1月中旬 |
確認用書類の提出 | 2027年5月11日 | 2027年5月11日 |
オンラインでの入学手続き | 2027年5月28日〜7月15日 | 2028年1月中旬 |
書類の郵送 | 2027年7月26日 | 2028年1月中旬 |
9月入学の手続きは英語、4月入学の手続きは日本語で行います。日程は変わることがあるため、合格後にTAOで届く案内で最終確認してください。
国内の高校3年生が9月入学を選ぶと、2027年3月の高校卒業から9月の入学まで約半年の空白ができます。4月入学を選べば空白は約1年です。この期間の過ごし方を合格前から決めておくことを、筆者は保護者の方にも勧めています。英語での授業に備えた学習、入学後に取り組みたい研究テーマの下調べ、アルバイトや活動の継続などが選択肢です。
卒業の時期も確認しておきましょう。SFCは入学式と卒業式を3月と9月の年2回行っています(慶應義塾大学 SFC学部長日記「9月卒業生」)。9月に入学して4年在籍すれば、卒業も9月です。
塾の解説記事には、単位を早く取り終えれば3年半で卒業でき、4月入学者と同じ3月に卒業できると紹介しているものもあります(洋々)。就職活動の時期に関わるので、現行の条件は入学後の履修案内で確かめてください。
国内の高校3年生は「冬AO→春AO」の二段構え
冬AOへの出願は、ほかのAO入試や一般選抜の出願資格に影響しません(Winter AO 2026 Application Guidebook p.9)。そのため国内の高校3年生は、在学中に冬AOを受け、不合格なら卒業後の春AOでもう一度9月入学を狙えます。
時期 | やること |
|---|---|
2027年1月22日 | 冬AOの出願締切 |
2027年1月中旬 | 2027春AOの募集要項が公開(見込み) |
2027年3月12日 | 冬AOの合格発表 |
2027年3月 | 高校卒業。不合格なら春AOの書類づくりに着手 |
2027年5〜6月 | 春AOに出願(見込み) |
2027年7月 | 1次発表、面接、合格発表(見込み) |
2027年9月 | 入学 |
冬AOの合格発表から春AOの出願締切までは、例年なら約3か月です。評価者2名への再依頼と、厳封した調査書の取り寄せは卒業前に手を打っておいてください。

9月入学のもう一つのルート「春AO」|冬AOとの違いと使い分け
慶應SFCで9月に入学できるAO入試は、冬AOだけではありません。春AOは日本語でも英語でも出願でき、書類選考のあとSFCで対面の面接があります。ただし9月入学枠の合格者は毎年10人前後で、倍率は冬AOを大きく上回ります。
春AOの概要
春AOは、その年の9月か翌年4月に入学する人を対象にしたAO入試です。2027年9月入学なら2027春AO(例年5〜6月出願)が対象で、日程の見込みは前半の「2027春AO(2027年9月入学)の日程の見込み」にまとめています。7月下旬の合格発表から9月の入学まで、わずか2か月しかありません。
出願できるのは誰か(国内の高校3年生は対象外)
春AOの出願資格は「入学までに高校を卒業していること」が前提です。9月入学なら、その年の9月までに卒業している必要があります。4月入学を希望する場合も、出願した年の10月以降に日本の高校を卒業見込みの人は出願できません(2026春AO募集要項 p.10)。
つまり、日本の高校に在籍している高校3年生は、春AOに出願できません。主な出願者は次のような人です。
- 高校を卒業した浪人生、大学に在籍中の人、社会人(年齢の上限はなし)
- 海外の高校を6月ごろに卒業する人
- 高等学校卒業程度認定試験に合格した人
浪人生にとっては、最短半年で大学生になれる入試です。評定平均や試験スコアの出願条件はなく、SFCを第一志望とすることが求められます。
選考の流れと提出書類(冬AOとの比較)
選考は2段階です。1次選考は書類審査、2次選考はSFCでの約30分の面接で、面接の言語は「日本語」「英語」「どちらでも可」から選べます。最終合否は1次選考の評価とあわせて判定されます。
冬AOとの違いを並べると次のとおりです(2026春AO募集要項、Winter AO 2026 Application Guidebook)。
項目 | 春AO | 冬AO(GIGA) |
|---|---|---|
出願言語 | 日本語か英語を選択 | 英語のみ |
志望理由の文章 | 日本語2,000字以内、または英語4,000字以内 | 英語4,000字以内 |
自由記述(スライド) | A4で2枚以内 | 2ページ以内 |
活動報告の自己評価 | 日本語200字以内、または英語400字以内 | 英語400字以内 |
志願者評価 | 2名 | 2名 |
動画 | なし | 3分の英語プレゼン動画 |
面接 | あり(SFCで対面、約30分) | なし |
成績の証明 | 高校で厳封した調査書を郵送 | 学校がTAOにアップロード |
1次選考の免除 | 対象コンテストの所定の成績で免除 | なし |
国内の高校3年生 | 出願不可 | 出願可(SAT等と英語試験が必要) |
1次選考の免除は、中学卒業以降に個人で所定の成績を収めた人が対象です。対象には、小泉信三賞全国高校生小論文コンテストの小泉信三賞、日本数学オリンピックの予選Aランク、日本情報オリンピックの本選Aランク、全国高校生マイプロジェクトアワードの文部科学大臣賞などが含まれます。免除の申請は、総合政策学部と環境情報学部を通じて1回限りです。
9月入学者は、入学手続きに使う言語を日本語か英語から選びます。この選択で、クラス指定科目を日本語クラスで受けるか英語クラスで受けるかが決まります。英語を選んだ場合は、冬AOの入学者と同じく、GIGAサティフィケートの取得に日本語能力試験N2の合格が加わります。
9月入学枠の倍率は冬AOの約2〜6倍
要項に載っている選考結果から、春AOの9月入学枠と冬AOの倍率を比べました(両学部計、志願者÷合格者で算出)。
入学年 | 春AO(9月入学枠) | 冬AO(GIGA) |
|---|---|---|
2024年 | 87人中13人合格(6.7倍) | 327人中111人合格(2.9倍) |
2023年 | 113人中8人合格(14.1倍) | 254人中110人合格(2.3倍) |
2022年 | 98人中8人合格(12.2倍) | 271人中103人合格(2.6倍) |
2021年 | 97人中12人合格(8.1倍) | 370人中81人合格(4.6倍) |
出典:2026春AO募集要項「AO入試選考結果・統計」、Winter AO 2026 Application Guidebook 付録。2026春AOの要項に載っている春AOの最新データは、2024春AO(2024年9月入学)です。

春AOの9月入学枠は、合格者が年8〜13人しかいません。冬AOは志願者が増えたとはいえ、毎年100人前後が合格しています。9月入学を狙うなら、受けられる人は冬AOを第一の選択肢にするのが筆者の判断です。
冬AOと春AO、どちらを選ぶか
筆者の推奨は、立場によって次のように分かれます。
立場 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
国内の高校3年生 | 冬AOに出願し、不合格なら卒業後に春AO | 在学中に出せる9月入学の入試は冬AOだけ。冬AOへの出願は、ほかのAO入試や一般選抜の出願資格に影響しない |
浪人生・既卒生 | 英語力があれば冬AOと春AOの両方、なければ春AO | 冬AOは出願資格の区分(SAT等)を満たす必要がある。春AOは日本語で勝負できる |
面接で人柄や熱量を伝えたい人 | 春AO | 書類で伝えきれない部分を面接で補える |
海外在住で来日が難しい人 | 冬AO | 来日不要。春AOの面接はSFCで対面 |
春AOは再出願もできますが、再出願のときは前回の出願からの変更点を説明する書面が必要です。一度目で何を変えるかまで見据えて準備してください。
なお、一都三県(東京・神奈川・千葉・埼玉)以外の高校出身者には、春AO・夏秋AOの合格者から選ばれる学部独自の「総環のすゝめ奨学金」(年60万円、条件を満たせば最長4年)があります。対象かどうかは合格後に大学から個別に連絡が来ます。
学費・奨学金・入学後の生活
初年度の学費の目安は約178万円で、これは2026年4月入学者の金額です。冬AOには出願と同時に申し込める奨学金が4種類ありますが、対象は9月入学を希望する外国籍の人に限られます。春AOには、一都三県以外の高校出身者を対象にした学部独自の奨学金があります。
初年度にかかる学費の目安
2027年9月入学者の学費は、2026年11月下旬に確定します。要項には参考として、2026年4月入学者の金額が載っています(募集要項 p.22)。
項目 | 入学学期 | 2学期目 | 年間合計 |
|---|---|---|---|
入学金(入学時のみ) | 200,000円 | 0円 | 200,000円 |
授業料等 | 790,725円 | 790,625円 | 1,581,350円 |
合計 | 990,725円 | 790,625円 | 1,781,350円 |
冬AOの出願時に申し込める奨学金(外国籍の人が対象)
冬AOで9月入学を希望する留学生は、出願の時点で次の奨学金に申し込めます。4月入学の希望者は対象外で、申し込めるのは出願時の1回だけです(募集要項 p.10)。
奨学金 | 採用人数 | 主な内容(2026年9月時点) |
|---|---|---|
文部科学省(国費) | 6名 | 年1,404,000円、渡航費、検定料・入学金・授業料の免除。成績要件あり(3段階評価で2.30以上) |
Mentor Mitakai | 1名 | 授業料1年分・入学金 |
石井義明 | 2名 | 授業料1年分・入学金 |
小林正忠 | 1名 | 1年目は授業料・入学金、2年目以降は年1,000,000円 |
支給期間は最長4年(毎年審査あり)で、所得制限はありません。すべての奨学金に同時に申し込めますが、採用されるのは1つだけです。結果は合格発表から1週間以内(2027年3月12日〜20日)にメールで届きます(慶應義塾大学 SFC奨学金ページ、2026年9月11日更新)。
対象は外国籍の人に限られます。日本の在留資格のうち、永住者・特別永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者の人は申し込めません。日本国籍の国内生や帰国生は、この奨学金の対象外です。
入学後に申し込める奨学金もあり、詳細は入学後に案内されます。春AO・夏秋AOの合格者のうち、一都三県(東京・神奈川・千葉・埼玉)以外の高校出身で特に優秀な人には「総環のすゝめ奨学金」(年60万円、条件を満たせば最長4年)が給付されます([2026春AO募集要項 p.34])。9月入学者の初学期の費用は、春AOでも冬AOと同じ990,725円(2026年9月入学者の金額)です。
キャンパス・寮
GIGAの授業は、神奈川県藤沢市遠藤にある湘南藤沢キャンパス(SFC)で行われます。キャンパス内には国際学生寮があります。
キャンパス内の寮は「Η(イータ)ヴィレッジ」です。2023年3月に開寮した慶應義塾で唯一のオンキャンパス寮で、5人1ユニットの居室に留学生と日本人学生あわせて約300名が暮らします(慶應義塾 プレスリリース 2023年3月7日)。在留資格「留学」の留学生の家賃は、朝食・夕食込みで月78,000円です(慶應義塾大学塾生サイト、2026年1月30日更新)。
キャンパスの外には、大学専用の湘南藤沢国際学生寮もあります。最寄りの湘南台駅からは、バスで約15分です。

まとめ|9月入学は「冬AOか春AOか」より「SFCで何をするか」で決まる
慶應SFCの9月入学には、英語の書類と動画で完結する冬AOと、日本語でも受けられて面接のある春AOの2ルートがあります。どちらを選んでも、合否を分けるのは英語力や面接の巧さではありません。SFCで何を、どの方法で学びたいのかを、書類と動画、または書類と面接で一貫して示せるかどうかです。
冬AOは志願者が2年で約2倍になり、春AOの9月入学枠は合格者が年8〜13人しかいません。国内の高校3年生なら、在学中に冬AO、不合格なら卒業後に春AOという二段構えが現実的な戦略です。
この記事を読み終えたら、まず次の3つから始めてください。
- 冬AOの募集要項p.8〜9で自分の出願資格区分を確かめ、春AOも視野に入れるかを決める
- 冬AOを受けるなら、SAT等と英語試験の受験日を2027年1月22日の締切から逆算して決める
- 高校の先生と評価者の候補に、11月中に相談を始める(春AOでも同じ2名に依頼できるよう伝えておく)
冬AOと夏秋AOのどちらで受けるべきか迷っている方や、書いたエッセイが合格水準に届いているか確かめたい方は、LINEの無料相談をご利用ください。推薦入試で合格した先輩たちの準備の進め方は、リザプロの合格者インタビューで読めます。
慶應SFC 9月入学(冬AO・春AO)のよくある質問
Q1. 慶應のGIGAプログラムとは何ですか?
英語の授業だけで学部を卒業できる、慶應義塾大学総合政策学部・環境情報学部の英語学位プログラムです。2011年9月に環境情報学部で始まり、2015年度から総合政策学部でも開講されています。科目は入試方式にかかわらず両学部の学生が履修できます。
Q2. 日本の高校からGIGA(冬AO)に出願できますか?
できます。ただし、日本語で授業を行う高校の場合は、SAT・ACT・IB・A-Levelのいずれかと、TOEFLや英検などの英語試験の両方が必要です。2027年10月以降に日本の高校を卒業見込みの人(2028年3月卒業予定の現高校2年生など)は、2026冬AOには出願できません。
Q3. TOEFLやIELTSは何点必要ですか?
最低基準点はなく、合格者の平均点も公表されていません。スコアは出願締切から2年以内のものが有効で、TOEFL ITPやTOEIC IPは使えません。英語が第一言語の人や、英語で授業を行う高校の出身者は提出が不要です。
Q4. 冬AOの倍率はどれくらいですか?
募集要項の数字から計算すると、2026年入学は総合政策学部が5.3倍(318人中60人合格)、環境情報学部が3.7倍(322人中87人合格)でした。志願者は2024年入学から2年で両学部とも約2倍に増えています。
Q5. 冬AOに面接はありますか?
ありません。選考は提出書類のみで、面接の代わりに3分間の英語プレゼン動画を提出します。来日の必要もありません。3分15秒を超えた部分は審査されないので注意してください。なお、春AOには面接があります(SFCで対面、約30分)。
Q6. 9月入学と4月入学はどちらを選ぶべきですか?
日本語で授業を受けられる水準に達していないなら、大学が強く勧めている9月入学を選んでください。国内の高校生が9月入学を選ぶと、3月の卒業から入学まで約半年の空白ができるため、その期間の過ごし方も合わせて決めておく必要があります。
Q7. 総合政策学部と環境情報学部の両方に出願できますか?
同じ年度の冬AOで両学部に出願することはできません。政策や制度の視点から問題を解きたいなら総合政策学部、テクノロジーやデザインで解きたいなら環境情報学部を選びます。なお、冬AOへの出願は、慶應の一般選抜やほかのAO入試の出願資格には影響しません。
Q8. 冬AO以外に、慶應SFCで9月入学できる入試はありますか?
春AOがあります。日本語か英語で出願でき、書類選考とSFCでの面接で選考します。ただし入学までに高校を卒業している必要があるため、日本の高校に在籍中の高校3年生は出願できません。9月入学枠の倍率は2021〜2024年で6.7〜14.1倍と、冬AO(2.3〜4.6倍)より高くなっています。
Q9. 冬AOに不合格でも、春AOに出願できますか?
できます。冬AOへの出願は、ほかのAO入試や一般選抜の出願資格に影響しないと要項に明記されています。国内の高校3年生なら、3月に卒業したあとの春AO(例年5〜6月出願)で、同じ年の9月入学を狙えます。

.png?w=800&fm=webp&q=75)

