志望理由書を書き始めようとしたものの、最初の一文がなかなか決まらず、手が止まってしまうという方は多いのではないでしょうか。書き出しは文章全体の印象を左右する大切な部分ですが、決まった正解があるわけではないため、どう始めればよいか迷いやすいものです。
この記事では、志望理由書の書き出しでよく使われる5つのパターンを、例文付きで紹介します。あわせて、リザプロ生の実際の書き出しの例文、書き出しを作るときに意識したいポイント、避けたいNG例、よくある質問もまとめました。読み終えるころには、自分に合った書き出しの型を選び、自信を持って一文目を書き始められるはずです。
▶︎志望理由書
志望理由書の書き出しが重要な理由
志望理由書において、書き出しは文章全体の読みやすさを大きく左右する部分です。最初に一番伝えたい結論を示しておくと、読み手はこの先どのような話が続くのかを見通しやすくなり、最後までストレスなく読み進めることができます。
また、冒頭で結論を提示することには、書き手側にもメリットがあります。先に着地点を決めておくことで、そのあとに続く理由や具体例が脱線しにくくなり、文章全体の軸がブレずにまとまるからです。
総合型選抜では、多くの出願書類に目を通す大学側へストレートに熱意を伝える必要があるため、最初の数行で要点が伝わる書き出しを意識することが大切です。
志望理由書の書き出しの主なパターン
ここからは、志望理由書の書き出しでよく使われる代表的な5つのパターンを紹介します。それぞれ向いている受験生のタイプや学部の傾向が異なるため、自分の経験や志望理由と照らし合わせながら、どの型がしっくりくるかを考えてみてください。
まずは全体像を、下の図でつかんでおきましょう。
【図解挿入】5つの書き出しパターンの一覧図。①志望理由から説明 ②目標から逆算 ③原体験から提示 ④社会問題から解説 ⑤大学の魅力からアピール の5つを、それぞれの「特徴」と「向いている人」とあわせて示す。本文の「下の図」で参照。
志望理由から説明するパターン
志望理由から説明するパターンは、最初に「なぜその大学・学部を志望するのか」という結論をそのまま述べる、もっともオーソドックスな書き出しです。回りくどい前置きを置かず、「私が貴学〇〇学部を志望する理由は〜です」のようにストレートに切り出します。
この型の良いところは、特別な実績や珍しいエピソードがなくても、手堅く熱意を伝えられる点です。「自分には目立つ強みがない」と感じている方でも、使いやすい書き出しです。
ただし、ありきたりな表現だけで終わらないように注意しましょう。次の段落で自分自身の理由や経験へ具体的につなげていくことを意識すると、説得力が増します。
例文(書き出し)
私が貴学経営学部を志望する理由は、データにもとづいて組織の課題を解決できるマーケターになりたいと考えているからです。そのために、消費者行動論と統計分析を体系的に学べる環境を求めています。
(約93文字)
目標から逆算するパターン
目標から逆算するパターンは、「将来どうなりたいか」という大きなゴールを最初に掲げ、その実現のためにこの大学での学びが欠かせない、という流れで展開する書き出しです。
冒頭で目標を示すことで、学習意欲の高さや前向きな姿勢がまっすぐ伝わりやすくなります。将来就きたい職業や関心のある業界がはっきりしている受験生に向いている書き方だといえます。
一方で、まだ将来の夢が定まっていない場合は、無理にこの型に当てはめると説得力が弱くなりやすいため、後述する原体験から始めるパターンなど、別の入り方を検討するとよいでしょう。
例文(書き出し)
私は将来、地方の医療格差を解消できる看護師になりたいと考えています。そのためには、地域包括ケアを実践的に学べる貴学看護学部で、住民一人ひとりの生活に寄り添う看護を身につけることが欠かせないと考えています。
(約102文字)
原体験から提示するパターン
原体験から提示するパターンは、その分野に興味を持つきっかけとなった具体的な経験を冒頭に置く書き出しです。「高校2年の夏に経験した出来事が、私の原点です」のように、エピソードから入ることで、読み手を場面に引き込みます。
この書き方の強みは、自分だけの経験を起点にできるため、ほかの受験生と内容が重なりにくく、オリジナリティを出しやすい点にあります。部活動やボランティア、留学など、特に思い入れのある体験がある方に向いているでしょう。
ただし、エピソードの描写に字数を使いすぎると本題が見えにくくなることもあるため、その経験から何を考え、なぜその大学を志望するに至ったのかへ、テンポよくつなげることを意識することが重要です。
例文(書き出し)
高校1年の秋、入院していた祖母の病室で、言葉の通じない外国人患者が不安そうにしている姿を目にしました。何も力になれなかったこの経験が、医療通訳という仕事に関心を持った原点です。
(約88文字)
社会問題から解説するパターン
社会問題から解説するパターンは、いま世の中で起きている課題に対する、自分なりの問題意識を起点にする書き出しです。たとえば「〇〇という課題が深刻化するなかで、私は△△の視点が欠かせないと考えています」のように、社会の状況と自分の関心を結びつけて切り出します。
この書き方の利点は、社会に目を向けて物事を考えている、視野の広い受験生だという印象を与えやすいところです。法学部や経済学部、社会学部など、社会との関わりが深い学部を志望する場合に向いています。
なお、一般論の解説だけで終わると、下の「志望理由書の書き出しのNG例」という見出しで開設しているNG例に近づいてしまうため、その課題に対して自分はどう感じ、何をしたいのかという主張まで踏み込むことが欠かせません。
例文(書き出し)
日本では、災害時に外国人住民へ正確な情報が届かないという課題が、繰り返し指摘されています。私は、誰もが等しく命を守れる社会を実現するために、多文化共生のまちづくりについて学びたいと考えています。
(約97文字)
大学の魅力からアピールするパターン
大学の魅力からアピールするパターンは、その大学ならではの独自のカリキュラムや施設、教授の研究分野に触れて切り出す書き出しです。「貴学の〇〇というカリキュラムは、私が△△を学ぶうえで欠かせない環境だと感じています」のように、具体的な特色を挙げて志望度の高さを示します。
この書き方の良いところは、ほかの大学ではなくその大学でなければならない理由が伝わりやすく、入念に調べたうえで出願しているという姿勢を示せる点です。オープンキャンパスで強く心を動かされた場合や特定の研究室で学びたい場合に向いています。
ただし、大学案内をなぞっただけの内容にならないよう、その環境がなぜ自分にとって必要なのかを、自分の言葉で説明することが大切です。
例文(書き出し)
貴学国際文化学部が必修としているスタディ・アブロード・プログラムは、現地で暮らしながら文化を体感的に学びたい私にとって、ほかでは得がたい環境だと感じています。
(約79文字)
志望理由書の書き出しの例文
ここからは、実際にリザプロのサポートを受けて合格した先輩たちの志望理由書から、書き出し部分を紹介します。書き出しから次の段落へどのようにつなげているかにも注目しながら、読んでみてください。
内部リンク▶︎志望理由書 例文 大学
Aさん
早稲田大学 国際教養学部 合格
書き出し〜次の段落
私にとって唐揚げは「言葉」を象徴するものだ。
地元の小学校に入学してすぐのこと、お弁当の唐揚げを落としてしまった。周りに助けを求めたくても、何も伝えることができなかった。話し好きの私が、自分の芯である「言葉」を奪われたこの経験は、私の国際経験の原点である。
高1の秋、海外からの留学生に出会った。初日、目を合わせないように距離を置く生徒たちのなか、私は他クラスからずけずけと教室に入り、大声で声をかけた。独り座っていた彼を見て、あの日の唐揚げを思い出したからである。
(約231文字)
身近な食べ物を象徴として用いた一文目で読み手の興味を引きつけ、そこから言葉を失った原体験へと自然に展開している点が秀逸です。
抽象的な志望理由ではなく、自分にしか書けない具体的な場面から入っているため、そのあとに続く留学生との交流のエピソードにも説得力が生まれています。
Bさん
慶應義塾大学 法学部 合格
書き出し〜次の段落
私の夢は、日本の強みを生かし、新興国に選ばれる外交を実現することだ。幼い頃から、ニュースや新聞では日本の未来を不安視する報道が繰り返され、その度に、次世代を担う若者としての使命感がかき立てられた。そして、地方から日本を再興させたいという思いから、地域活性化の活動に取り組んできた。
しかし、新興国の勢いを自分の目で見た経験が、私を大きく変えた。在学中、私は2度の海外インターンシップと、高校生の相互交流事業による海外派遣を経験した。とりわけ印象に残ったのは、幼少期を過ごした国を久しぶりに訪れたときのことだ。高層ビルや高速道路、地下鉄が整い、懐かしさを感じさせないほどの発展を目の当たりにした。
(約296文字)
将来実現したい外交の姿を冒頭で言い切り、そこへ向かう原動力を簡潔に示してから、自分を変えた具体的な体験へと展開しています。
夢を語るだけで終わらせず、海外で得た実感に結びつけているため、説得力のある書き出しになっています。
Cさん
早稲田大学 社会科学部 合格
書き出し〜次の段落
世の中にある社会問題の「社会」とは、誰にとっての社会なのか。そこで取り上げられる問題は、誰にとっての問題なのか。世論をつくるマスコミも、政策を話し合う国会も、そこにいるのは強者ばかりだ。ならば、いまある社会問題を解決した先に待っているのは、強者にとって生きやすい社会だけではないのか。高校3年間で、私は自分と社会を批判的かつ俯瞰的に見つめ直し、この問いにたどり着いた。
とりわけ3年生のときに行った幸福度に関する調査は、私の価値観を大きく変える経験となった。
(約228文字)
問いを重ねる書き出しによって、読み手にも一緒に考えさせる構成になっており、ありきたりな志望理由とは一線を画しています。
自分の思考の深さを印象づけたうえで、それを裏づける調査の経験へとつなげている点も、この書き出しの優れているところです。
志望理由書の書き出しを作るときに重要なポイント
ここでは、どのパターンを選ぶ場合でも共通して意識したい、書き出しづくりの3つのポイントを紹介します。
- 結論を明確かつ簡潔に示す
- 具体的なワードを盛り込む
- 次の段落へのつながりを意識する
結論を明確かつ簡潔に示す
1つ目のポイントは、大学側がもっとも知りたい志望理由を、最初にはっきりと示すことです。冒頭で何を言いたいのかが伝わらないと、読み手は内容を理解するのに労力がかかり、肝心の熱意も届きにくくなってしまいます。
そのためには、一文をできるだけ簡潔にまとめることが効果的です。指定文字数にもよりますが、一文の長さは40〜60文字程度を目安にすると、一度読んだだけで意味が頭に入りやすくなります。
背景説明や前置きを長々と続けるのではなく、まず結論を置き、説明はそのあとに回すことを意識しましょう。
具体的なワードを盛り込む
2つ目は、書き出しに具体的な言葉を盛り込むことです。どの大学にも当てはまるような抽象的な表現は、読み手の印象に残りにくく、志望度の高さも伝わりにくくなります。
たとえば、その大学固有のカリキュラム名や研究テーマ、自分が実際に取り組んだ活動の名称など、自分とその大学にしか当てはまらない言葉を選ぶと、書き出しが一気に具体的になります。
さらに、自分自身が体験した出来事を一つ混ぜることで、ほかの受験生とは違うオリジナリティが生まれます。借りものではない、自分の言葉で書くことを心がけましょう。
次の段落へのつながりを意識する
3つ目は、書き出しから次の段落へのつながりを意識することです。一文目と二文目の間に話の飛躍があると、読み手は流れを追いづらくなってしまいます。書き出しはあくまで導入であり、そのあとに続くきっかけや自己アピールを引き出すための入り口だと考えてください。
具体的には、志望理由書全体が「結論→理由→具体例→結び」という流れになるよう、書き出しの段階で着地点を見据えておくことが大切です。
冒頭で提示した結論が、次の段落の理由やエピソードへ無理なくつながっているかを、書き終えたあとに読み返して確認しましょう。
志望理由書の書き出しのNG例
続いて、書き出しでつい陥りがちなNG例を4つ紹介します。自分の書き出しが当てはまっていないか、確認しながら読んでみてください。
- 伝えたいことが分からない例
- 言葉の定義や社会情勢の解説をしている例
- どの大学でも当てはまるような抽象的すぎる例
- 主体性が感じられない例
伝えたいことが分からない例
一つ目は、何を伝えたいのかが読み取れない書き出しです。
高校時代の思い出や状況説明といった前置きが長く続き、肝心の結論がなかなか出てこないと、読み手は要点をつかめません。一文に複数の内容を詰め込みすぎて、論点がぼやけてしまうケースもよく見られます。
改善するには、まず最初の一文で志望理由を端的に言い切り、詳しい説明はそのあとに続ける形に整えると、伝えたいことが明確になります。
NG例
私は幼い頃から人と関わることが好きで、中学では生徒会、高校では文化祭の実行委員を務め、さまざまな人と協力するなかで多くのことを学び、その経験を通して将来は人の役に立つ仕事がしたいと思うようになり、貴学を志望しました。
改善例
私が貴学社会学部を志望する理由は、人と人との協力を支える仕組みづくりを学びたいからです。生徒会や文化祭の実行委員として活動するなかで、その関心が芽生えました。
言葉の定義や社会情勢の解説をしている例
二つ目は、言葉の定義や社会情勢の解説から入ってしまう書き出しです。
「現代社会ではグローバル化が進み」といった一般論は、誰が書いても同じ内容になりやすく、自分自身の志望理由が見えてきません。
志望理由書は本来、自分の考えや経験で埋めるべき書類です。社会の状況に触れること自体は問題ありませんが、その場合でも、その状況に対して自分はどう感じ、何を解決したいと思っているのかを中心に据えることが欠かせません。
NG例
現代社会では少子高齢化が進み、医療や介護の現場では人手不足が深刻な問題となっています。このような状況のなかで、私は貴学看護学部を志望します。
改善例
祖母の在宅介護を手伝った際、訪問看護師の方が家族の不安まで支えてくれたことに感銘を受けました。私もそうした看護を実践したいと考え、貴学看護学部を志望します。
どの大学でも当てはまるような抽象的すぎる例
三つ目は、どの大学にも当てはまる抽象的すぎる書き出しです。
「充実した教育環境に惹かれました」といった定番のフレーズは、具体性に欠けるため、ほかの大学でも通用してしまいます。これでは、大学案内に少し目を通しただけではないか、と受け取られる可能性もあります。
改善のためには、その大学ならではの特色を挙げたうえで、なぜその環境が自分にとって必要なのかまで掘り下げて書くことが大切です。
NG例
貴学は充実した教育環境と手厚いサポート体制が整っており、自分を成長させられると感じたため、志望しました。
改善例
貴学の少人数制ゼミでは、1年次から地域企業と連携した課題解決に取り組めます。実践を通して経営を学びたい私にとって、この環境が欠かせないと考え、志望しました。
主体性が感じられない例
四つ目は、主体性が感じられない書き出しです。
「担任の先生に勧められて」「貴学の手厚いサポートで成長したい」といった受け身の表現が続くと、自分から学ぼうとする姿勢が伝わらず、入学後の意欲まで疑われてしまうおそれがあります。また、「本当は別の進路を希望していましたが、難しいため」といった消極的な書き方も避けたいところです。
自分の意志でその大学を選び、何を成し遂げたいのかを、前向きな言葉で示すことを意識しましょう。
NG例
担任の先生に勧められて貴学を知り、手厚いサポート体制のなかで成長させていただきたいと思い、志望しました。
改善例
貴学で〇〇を研究したいと考え、自ら教授の論文を読み進めるうちに志望度が高まりました。入学後は△△の課題に、主体的に取り組みたいと考えています。
志望理由書の書き出しに関するよくある質問
最後に、志望理由書の書き出しについて、受験生からよく寄せられる質問をまとめました。気になる項目から確認してみてください。
書き出しの文字数は何文字くらいが目安?
書き出しの文字数は、志望理由書全体の20%ほどを目安にするとよいでしょう。たとえば800文字の志望理由書であれば、書き出しは150文字前後が一つの目安になります。
なお、これはあくまで目安であるため、指定された文字数や書く内容に応じて調整しましょう。
注意したいのは、書き出しを長くしすぎると論点がぼやけてしまう点です。一文が長くなりすぎないよう、伝わりにくい修飾語は削ぎ落とし、簡潔にまとめることを意識してください。
書き出しがどうしても思いつかないときの対処法は?
書き出しが思いつかないときは、最初から完璧な一文目を書こうとしないことが大切です。
まずは、志望理由書全体で一番伝えたいことや結論を、箇条書きで書き出してみましょう。出てきた言葉を組み合わせ、先ほど紹介した型に当てはめれば、仮の一文を作ることができます。
また、書き出しを後回しにして本文から書き始め、全体が書けてから冒頭を整える方法も有効です。将来の夢がはっきりしない場合は、過去の経験や興味を持ったきっかけから振り返ると、書き出しの糸口が見つかりやすくなります。
書き出しと締めの内容は被っても良い?
書き出しと締めの内容が重なること自体は、まったく問題ありません。
むしろ、冒頭と結びで同じ結論を述べると、文章全体に一貫性が生まれ、伝えたいことが読み手の印象に残りやすくなります。
ただし、まったく同じ表現をそのまま繰り返すのは避けたいところです。
締めでは、入学後にどう学び、何を実現したいのかといった、未来へ向けた前向きな言葉を添えると、書き出しと呼応しながらも発展のある結びになります。
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ここまで、志望理由書の書き出しについて、代表的な5つのパターンから、作成時のポイント、避けたいNG例、よくある質問までを紹介してきました。
書き出しに決まった正解はありませんが、自分の経験や志望理由に合った型を選び、結論を簡潔に示すことを意識すれば、読み手に熱意の伝わる一文目を書くことができます。
一人で書き出しの良し悪しを判断するのが難しいと感じたときは、第三者に読んでもらうのも有効です。リザプロでは、総合型選抜を知り尽くしたプロの講師が、書き出しから本文の構成、面接対策まで、一人ひとりに合わせてサポートしています。
紹介した5つのパターンやNG例を一つずつ照らし合わせながら、まずは自分なりの書き出しを書き始めてみてください。
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