
2027年9月に上智大学へ入学できるルートは、3つに絞られます。国際教養学部(FLA)、SPSF、そして2027年に新設される理工学部デジタルグリーンテクノロジー学科(DGTech)です。
どれも書類選考のみ。第1期の出願締切は2026年12月4日で、入学の9か月以上前に勝負がつきます。
「秋入学だから準備はゆっくりでいい」は誤解です。この記事は、上智大学が公開している2027年度の募集要項(Application Procedure Booklet)3冊を一次資料に、3プログラムを同じ物差しで並べて比較します。そのうえで、書類選考で差がつく箇所を推薦・総合型選抜の指導者の立場から具体的に示します。
上智大学の9月入学とは?英語で学位が取れる3つのプログラム
上智大学の9月入学は、全授業を英語で行う「英語学位プログラム」の入試です。2027年度の対象はFLA・SPSF・DGTechの3つ。日本語で受ける一般選抜や帰国生入試とは、出願書類も日程もまったく別の仕組みで動いています。
9月入学できるのはFLA・SPSF・DGTechの3つ
プログラム | 所属 | 入学時期 | 2027年度 9月入学の1年次定員 |
|---|---|---|---|
FLA(Faculty of Liberal Arts) | 国際教養学部 国際教養学科 | 4月・9月 | 80名(4月は60名+推薦系入試で最大46名) |
SPSF(Sophia Program for Sustainable Futures) | 文・総合人間科・経済・総合グローバルの6学科 | 9月のみ | 学科ごとに若干名 |
DGTech(Department of Digital Green Technology) | 理工学部 デジタルグリーンテクノロジー学科 | 4月・9月 | 25名(4月は13名+推薦系入試で最大12名) |
出典:上智大学 FLA・SPSF・DGTech 各募集要項(2027年度)。定員はいずれも第1期・第2期の合算です。
選考はいずれも書類選考で、筆記試験も面接もありません。DGTechは入学定員50名のうち約半数を留学生と見込んでいます。
旧「理工学部英語コース(GS/GE)」はどうなった?
2012年に始まったグリーンサイエンス(GS)・グリーンエンジニアリング(GE)の2コースは、2026年9月入学が最後の募集でした(上智大学 英語版ニュース)。後継が2027年4月開設のDGTechです。
上位の解説記事にはGS/GE前提のまま更新されていないものが残っています。2027年以降に理工系の英語学位を目指すなら、調べるべき名前はDGTechです。
海外経験なし・日本の高校生でも出願できる?
できます。出願資格は「学校教育における12年以上の課程を修了(見込み)」が基本で、募集要項は日本の高校(文部科学省認定校)の卒業見込み者を資格の1番目に挙げています。国籍や居住国も問われません。
上智大学の公式FAQも、海外経験がなくても必要書類を揃えれば出願できると明記しています。帰国生のための特別枠はありません。
日本の高校に在籍している人には、もう一つ選択肢があります。FLAとDGTechの4月入学には、日本国内在住者だけが出願できる第2期(2026年11月11日〜12月4日)と、日本の高校在籍者向けの推薦入試があります。9月入学と同じ期間に出願できるので、志望次第で並べて検討してください。
2028年度の帰国生入試変更で、英語学位プログラムの比重が上がる

上智大学入学センターは2026年3月31日、2028年4月入学の特別入試から帰国生入試を大きく変えると発表しました。主な変更は次の3点です。
- 経済学部、総合グローバル学部、理工学部3学科、文学部 史学科・国文学科、総合人間科学部 社会福祉学科で帰国生入試の募集を行わない
- 出願要件を「高校3年間のうち2年以上継続在籍」に厳格化(中学時代だけの海外経験は対象外)
- 外国人入試でも経済学科・経営学科などの募集を停止
出典:上智大学入学センター「2028年度特別入試の変更について」(2026年3月31日)。
EDUBALの取材に対し、入学センターは募集を止める学科の受験生にSPSFを検討してほしいと答えています(2026年4月公開)。経済・経営・総合グローバルを志望する海外生にとって、9月入学のSPSFは本命のルートになります。理工系ならDGTechです。
該当する学年(2027年4月に高3になる世代以降)の保護者は、英語学位プログラムを検討の土台に早めに乗せてください。
FLA・SPSF・DGTechの違いを比較|学位・分野・入学時期
分かれ目は「卒業時に何の学位を持っているか」です。FLAはリベラルアーツの学位、SPSFは経済学や社会学など専門分野の学位、DGTechは工学の学位。学びたい分野が決まっているほどSPSFかDGTech、まだ広く探したいならFLAが合います。

FLA(国際教養学部)|リベラルアーツで幅広く学ぶ
FLAの学位はB.A. in Liberal Artsです。比較文化、国際経営・経済学、社会科学といった領域を横断し、2年次以降に専攻領域を絞っていきます。
4月入学と9月入学の両方があるのはFLAとDGTechだけ。9月入学の定員80名は、上智の英語学位プログラムの中で最も大きな枠です。
公式FAQによると、FLAの学生は約7割が日本人、約3割が外国籍です。ただし二重国籍や海外育ちの日本国籍者も多く、国籍だけでは学生層を測れないと大学自身が補足しています。
SPSF|6学科の専門を英語で学ぶ
SPSFは、既存学部の6学科の専門科目を英語で履修するプログラムです。卒業時の学位は所属学科のものになります。
学部 | 学科 | 学位 | 3年次編入 |
|---|---|---|---|
文学部 | 新聞学科 | BA in Journalism | あり |
総合人間科学部 | 教育学科 | BA in Education | あり |
総合人間科学部 | 社会学科 | BA in Sociology | あり |
経済学部 | 経済学科 | BA in Economics | あり |
経済学部 | 経営学科 | BA in Management | あり |
総合グローバル学部 | 総合グローバル学科 | BA in International Relations/BA in Area Studies(2年次に選択) | なし |
出典:上智大学 SPSF募集要項(2027年度)。
入学は9月のみ。2026年5月時点で22か国・203名が在籍し、日本国籍は113名(56%)です(アーク・カレッジのnote記事、2026年7月時点の情報)。
DGTech|データサイエンス×GXの工学学位
DGTechの学位は学士(工学)、英語名はBachelor of Engineering in Digital Green Technologyです。データサイエンスとプログラミングを土台に、機械学習やAIなどのDX技術、電気・機械・生物・化学の基礎を学び、GX(グリーントランスフォーメーション:脱炭素社会への転換)の技術へ進みます。
定員は読み違えやすいので数字で押さえてください。入学定員は50名ですが、書類選考の枠は9月入学25名・4月入学13名で、残りの最大12名は4月入学の推薦系入試に回ります。旧GS・GEの9月入学枠は各25名(計50名)だったため、9月入学に絞ると枠は旧コースの半分です(いずれも上智大学の各年度募集要項)。
3プログラム比較表
項目 | FLA | SPSF | DGTech |
|---|---|---|---|
学位 | B.A. in Liberal Arts | 所属学科の学士 | 学士(工学) |
入学時期 | 4月・9月 | 9月のみ | 4月・9月 |
9月入学の1年次定員 | 80名 | 学科ごとに若干名 | 25名 |
3年次編入 | あり(9月は第2期のみ) | 5学科であり(第2期のみ) | なし |
エッセイ | 2編(300語以内+400語以内) | 学科ごとに約500語 | 約500語・英語で手書き |
統一試験 | SAT/ACT(Writing・Science含む)/IB/A-Level | SAT/ACT(Writing含む)/IB/A-Level | SAT/ACT(Writing不要)/IB/A-Level/EJU |
理数の指定 | なし | なし | あり(IB Math AA/AI HL必須など) |
推薦状 | 2通 | 2通(複数学科でも共通) | 2通 |
早期卒業 | 3年以上・GPA3.50以上で可 | 5学科で6〜7学期卒業を申請可 | 記載なし |
出典:上智大学 FLA・SPSF・DGTech 各募集要項(2027年度)。
併願はできる?
できます。ただしSPSFの中での併願と、プログラムをまたぐ併願では手続きが違います。
併願の形 | 受付番号 | エッセイ | 推薦状 | 受験料 |
|---|---|---|---|---|
SPSF内の複数学科 | 1つ(MyPageで複数学科を選択) | 学科ごとに別 | SPSF宛ての2通のみ | 学科ごと |
FLA・SPSF・DGTechをまたぐ | プログラムごとに発行 | プログラムごとに別 | 推薦者がプログラムごとに宛先を変えて提出 | プログラムごと |
出典:上智大学 SPSF・DGTech募集要項(2027年度)。統一試験と英語スコアの送付依頼は、どの形でも1回で足ります。
プログラムをまたいで出願すると、推薦者の負担は2倍、3倍になります。成績証明書も学校がプログラムごとにアップロードします。併願を決めた時点で、先生と学校の事務に早めに伝えてください。
筆者の推奨は「第一志望1つに軸足を置き、併願先のエッセイは使い回さない」こと。そもそもFLAとDGTechでは、エッセイに求められる中身が逆向きです(H2「合格のための対策」で詳しく扱います)。
あわせて読みたい:日本語の総合型選抜で上智大学に合格した先輩の体験談(リザプロ合格者インタビュー)
2027年9月入学の出願スケジュール|第1期・第2期
第1期のWeb出願は2026年11月11日に始まり、12月4日に締め切られます。第2期は2027年3月10日〜31日。FLA・SPSF・DGTechの3つとも、9月入学はこの共通日程です。
第1期(1年次入学のみ)
手続き | 日時(日本時間) |
|---|---|
Web出願(MyPage)・受験料支払い | 2026年11月11日 10:00 〜 12月4日 23:59 |
書類アップロード締切 | 2026年12月11日 23:59 |
合格発表 | 2027年2月5日 10:00 |
入学手続締切 | 2027年4月9日 |
第2期(1年次・3年次編入)
手続き | 日時(日本時間) |
|---|---|
Web出願(MyPage)・受験料支払い | 2027年3月10日 10:00 〜 3月31日 23:59 |
書類アップロード締切 | 2027年4月7日 23:59 |
合格発表 | 2027年6月4日 10:00 |
入学手続締切 | 2027年7月9日 |
出典:上智大学 FLA・SPSF・DGTech「When and How to Apply」および各募集要項(2027 Intake)。入学日は2027年9月21日です。DGTechは編入を受け付けないため、第2期も1年次のみです。
受験料の支払いはWeb出願の締切日23:59まで。書類はアップロードしただけでは審査されず、最後に「Submit」ボタンを押して初めて提出完了になります。
IBの11月試験・EJUを使う人の注意
2026年11月のIB試験で出願する第1期志願者は、IBOから「Transcript of Results」を2026年12月18日(金)までに上智大学へ送付するよう依頼してください。この場合は最終スコアで審査され、合格は条件付きになりません。
Predicted Grades(予想スコア)で出願した場合は条件付き合格です。最終スコアが合格時に示された基準を下回ると、合格は取り消されます。
DGTechでEJUを使う人は、2026年11月実施のEJUのスコアは第2期でしか使えません。第1期で出すなら、6月以前の回で数学コース2と理科2科目を揃えておく必要があります。
入学から逆算した準備スケジュール

9月入学の出願は、日本の一般選抜(2月の筆記試験)より早く動きます。第1期で出すなら、書類はすべて高3(G12)の11月に完成している必要があります。
時期 | やること |
|---|---|
高2の春〜夏 | 志望プログラムの決定、TOEFL・IELTSの初回受験 |
高2の秋〜冬 | SAT/ACTの初回受験、IBやA-Levelの科目選択の確認(DGTechは理数科目の指定に注意) |
高3(G12)の春〜夏 | スコアの最終更新、エッセイの構想と初稿、推薦状の依頼 |
高3の9〜10月 | エッセイの改稿、成績証明書・卒業見込証明書の手配 |
2026年11月11日〜12月4日 | 第1期Web出願・受験料支払い |
2026年12月11日まで | 書類アップロード完了 |
TOEFL・IELTSは出願期間の初日から2年以内に受験したもの、SAT・ACT・EJUは出願時から2年以内のものが有効です。高2の春に受けたスコアでも第1期に使えます。
推薦状の依頼は締切の2か月前には済ませてください。先生は同じ時期に何人分も書いています。
出願資格と必要書類
3プログラムに共通する出願資格は「12年以上の学校教育課程を修了、または入学までに修了見込み」の一点です。必要書類も骨格は同じで、違いはエッセイの形式と、DGTechだけに課される理数科目の指定に集中しています。
3プログラム共通の書類

項目 | 書類 | 提出者 | ポイント |
|---|---|---|---|
A | Application Form(3ページ) | 本人 | Web出願で入力し、支払い後にダウンロードして提出 |
B | エッセイ | 本人 | プログラムごとに形式が違う(下表) |
C | 成績証明書 | 学校 | 日本の高校は調査書。学校がアップロード |
D | 卒業(見込)証明書 | 学校 | 成績証明に卒業(見込)日の記載があれば不要 |
E | 推薦状2通 | 推薦者 | 教員など2名。英語か日本語、独自様式も可 |
F | 統一試験スコア | 試験団体 | 試験団体から上智へ直送 |
G | TOEFL iBT/IELTS Academic | 試験団体 | 直送に加え、本人がスコア票の写しもアップロード |
H | パスポートの写し | 本人 | 日本以外の国籍を持つ人のみ |
I | 提出書類チェックリスト | 本人 | 大学所定様式 |
出典:上智大学 FLA・SPSF・DGTech 各募集要項(2027年度)。
提出はすべて出願書類アップロードサイト(sophiaupload.jp)から行い、形式はPDF・JPG・PNGのみです。オンラインで揃えば郵送は不要です。
募集要項には、ChatGPTなどの生成AIを出願書類の作成に使うことを禁止すると明記されています。虚偽や剽窃が見つかれば、入学後でも合格が取り消されます。
プログラム別の違い
項目 | FLA | SPSF | DGTech |
|---|---|---|---|
エッセイ | Personal Statement(300語以内)+Self-Reflective Essay(400語以内、3テーマから1つ) | 約500語。総合グローバル学科は関心テーマと参考文献(3点まで)を明記 | 約500語。英語で所定用紙に手書きし、スキャンして提出 |
ACT | Writing・Science必須 | Writing必須 | Writing不要 |
EJU | 使えない | 使えない | 使える |
任意書類 | なし | なし | AP・IB科目スコア、理数系コンテストの実績(学校経由) |
出典:上智大学 各募集要項(2027年度)。
DGTechは理数の指定が細かく設定されています。
統一試験 | DGTechで求められる条件 |
|---|---|
IB Diploma | Math AA または AI のHL必須+Physics・Chemistry・Biology HLから1科目 |
GCE A-Level | 3科目以上、Math必須+Physics・Chemistry・Biologyから1科目 |
EJU(日本留学試験) | 数学コース2必須+物理・化学・生物から2科目 |
SAT | Reading & Writing、Math |
ACT | English、Mathematics、Reading、Science(Writing不要) |
出典:上智大学 DGTech募集要項(2027年度)。
数学をSLで履修しているIB生は、AA・AIのどちらでもDGTechの条件を満たしません。科目選択はDP開始前、つまり高1の終わりまでに決まります。理工系の英語学位を考えるなら、ここが最初の分岐点です。
DGTechのエッセイが手書き指定である点も見落とされがちです。タイプで清書した原稿を書き写す時間まで、スケジュールに入れておいてください。
推薦状は誰に、何通頼むか
推薦状は2通。在籍校の教員または学校関係者2名に、英語か日本語で書いてもらいます。大学の所定様式のほか、推薦者の独自様式も認められています。
SPSFで複数学科に出願する場合、推薦状はSPSF宛ての2通で済みます。FLAやDGTechと併願する場合は別で、推薦者がプログラムごとに宛先を変えてアップロードします。
頼む相手は、志望分野に近い教科の先生と、担任やカウンセラーの組み合わせが基本です。成績の高さより、授業外の取り組みを具体的に知っている先生を選んでください。
受験料と支払い方法
受験料は3プログラムとも35,000円で、オンライン決済手数料1,100円が別途かかります。SPSFの複数学科出願は学科ごと、プログラムをまたぐ併願はプログラムごとに必要で、免除制度はありません。
日本在住者はクレジットカード、オンラインバンキング、コンビニ、Pay-easyで支払えます。デビットカードは使えません。日本の銀行口座がない海外在住者はクレジットカードのみです。
支払ったのに書類を出さなかった場合などは返金を申請できます。9月入学の申請締切は第1期が2026年12月23日、第2期が2027年4月28日です(手数料1,100円は返金対象外)。
必要な英語スコア・統一試験スコアの目安
大学が公表している「最低点」はありません。必要なのはTOEFL iBTかIELTS Academicの公式スコアと、統一試験1つ以上です。合格者の目安としては、TOEFL iBT 90〜100点以上、IELTS 7.0前後を挙げる塾が多く、筆者もこのラインを出願判断の基準にしています。
TOEFL・IELTSで受け付けられる形式
形式を間違えると、点数が高くても書類として通りません。
試験 | 受付 | 受付されない形式 |
|---|---|---|
TOEFL iBT | テストセンター受験の Test Date Score(機関コード0819) | MyBest スコア、Home Edition、ITP、Essentials |
IELTS Academic | e-delivery で送付されたスコア。One Skill Retake は可 | IELTS Online、IELTS Indicator |
出典:上智大学 FLA・SPSF・DGTech 各募集要項(2027年度)。
有効期限は「出願期間の初日から2年以内の受験」です。スコアは出願期間の最終日までに確定している必要があります。
英語力の証明が免除される条件もあります。直近6年のうち5年以上、英語を主な授業言語とする学校で学んだ人はTOEFL・IELTSが不要です。FLAに限り、ケンブリッジ英検のC2取得者も免除されます。
SAT・ACT・IB・A-Level・EJUの使い分け

IB Diploma生はIBで出すのが基本です。必要なのはフルディプロマ(6科目)で、IB Certificateは使えません。Predicted Grades(予想スコア)でも出願できます。
アメリカ系のインター生はSATかACT。ACTはプログラムによってWritingの要否が違います(FLA・SPSFは必要、DGTechは不要)。複数回の最高点を組み合わせるスーパースコアは認められず、1回の試験日の成績で判定されます。
英国系はA-Levelを3科目以上。シンガポールのA-Levelは H2を3科目以上です。EJUが使えるのはDGTechだけです。
日本の一条校生はここで止まります。統一試験の受験経験がほとんどないからです。現実的な選択肢はSATで、高2のうちに1回目を受けておくと、高3夏までに2〜3回の受験機会を確保できます。理系でDGTechを狙うなら、EJU(日本留学試験)の数学コース2と理科2科目という選択肢もあります。
合格者のスコア目安と「足切り」の考え方
上智は英語スコアの足切りも、合格者の平均スコアも公表していません。2027年度の募集要項と各プログラムの公式Figuresページで公開されているのは、募集人員だけです。
だからといってスコアが軽いわけではありません。募集要項は、統一試験・英語スコア・エッセイ・推薦状を総合的に見て合否を決めると書いています。エッセイと推薦状の評価がスコアの不足を補うことはあっても、授業についていけない英語力をカバーすることはありません。
筆者の判断基準は単純です。TOEFL iBT 90点に届いていない段階なら、エッセイより先にスコアを上げてください。90点を超えたら、そこからの数点より書類の完成度のほうが合否に効きます。
倍率・難易度|第1期と第2期でどれくらい違う?
数字だけ見ると、倍率はおおむね1.5〜4倍。一般選抜より低く見えます。ただし受験者のほぼ全員が英語スコアと統一試験を揃えた層なので、「倍率が低い=入りやすい」とは読まないでください。
直近の全体倍率
プログラム | 志願者 | 合格者 | 倍率(本記事で算出) |
|---|---|---|---|
FLA(書類選考、春・秋の合計) | 711人 | 250人 | 約2.8倍 |
SPSF(6学科の合計) | 745人 | 263人 | 約2.8倍 |
出典:JPSS(留学生向け大学情報サイト Japan Study Support)掲載の上智大学データ(2026年度掲載分)。上智の公式Figuresページは、2027年度時点で募集人員のみを公開しています。
FLAの第1期・第2期の倍率

入試年度 | 秋学期 第1期 | 秋学期 第2期 |
|---|---|---|
2024年度 | 1.8倍 | 3.3倍 |
2023年度 | 1.5倍 | 4.1倍 |
出典:ホワイトアカデミー高等部「上智大学FLAの入試対策ガイド」(上智大学公表データの集計)。
2年続けて、第2期の倍率が第1期の2倍前後になっています。
SPSFの学科別の傾向
総合グローバル学科は倍率が高止まりしやすく、2.8〜6.8倍程度で推移しているという分析があります。経済学科は志願者が増える傾向で、1.5〜2.6倍程度です(TCK WORKSHOP、上智大学2025年度入試統計の分析)。
総合グローバル学科は、2028年度から帰国生入試の募集がなくなる学科でもあります。海外生の志願がSPSFに移れば、倍率はさらに上がると筆者は見ています。
DGTechは新設のためデータなし
DGTechの入試結果は、2027年度入試が初回のためまだありません。大学は前身の理工学部英語コース(GS/GE)の入試統計を参考資料として公開しています。
判断材料として押さえたいのは枠の小ささです。9月入学の書類選考枠は25名で、旧GS・GE(計50名)の半分。初年度は志願者の規模が読めないため、倍率は上下どちらにも振れます。
第2期を「保険」にしてはいけない理由
FLAの9月入学定員80名は「第1期・第2期の合算」です。第1期で多く合格を出せば、第2期に残る枠は小さくなります。
上のグラフで第2期の倍率が跳ね上がっているのは、この仕組みが数字に出たものです。しかもFLAとSPSFの3年次編入は第2期でしか受け付けないため、第2期は残り枠に編入希望者も加わります。
結論として、第1期に出せる状態を目標にしてください。第2期は「第1期の結果を受けて再挑戦する場」であって、準備が遅れた人の受け皿ではありません。不合格になった人は次の期に再出願でき、成績証明書・卒業証明書・統一試験・英語スコア・パスポートの写しは再利用できます。エッセイと推薦状は出し直しです。
合格のための対策|エッセイ・推薦状・スコアメイク
書類選考で差がつくのはエッセイと推薦状です。上智大学入学センターも、英語で履修するプログラムでは志望理由書と推薦状の内容を非常に重視していると取材で答えています(EDUBAL、2026年4月)。スコアは「出願の土俵に乗る条件」、合否を動かすのは書類の中身、と整理してください。

FLAとDGTechでは、エッセイの書き方が逆になる
3つの募集要項を読み比べると、エッセイの指示が正反対になっている箇所があります。
FLAのPersonal Statement(300語以内)は、カリキュラムの特徴や教員名、授業名など、ウェブサイトを見ればわかる情報に字数を使わないよう明記しています。知りたいのは大学のことではなく、あなたのこと。経験と実績、将来の目標、そしてFLAがその踏み台になる理由を書きます。
DGTechは逆です。エッセイ(約500語)に盛り込む内容として、上智で学びたい理由、学問的関心と学科の関係、将来の目標に加えて、研究機会・カリキュラム・教員など学科の具体的な魅力を挙げるよう指示しています。
FLA用に書いた原稿をDGTechに流用すると、DGTechが求める具体性が欠けます。DGTech用の原稿をFLAに出せば、FLAが嫌う「大学の紹介」で字数が埋まります。併願するなら、骨格から別々に組み立ててください。
FLAのSelf-Reflective Essayは「自己PR」ではない
FLAの2編目(400語以内)は、次の3テーマから1つを選んで書きます(2027年度募集要項)。
- 良い判断が悪い結果を生んだ経験、または悪い判断が良い結果を生んだ経験から、リーダーシップや意思決定について学んだこと(カーネマンの「後知恵バイアス」が出発点)
- 自分の人生で大きな役割を果たした「神話」を紹介し、その良い影響と悪い影響を分析する(ドニガーの神話論が出発点)
- 直近2年間に触れた芸術作品の「反逆性」が、自分や世界の見方をどう揺さぶったか(バルガス=リョサの文学論が出発点)
大学はこの課題を、自己アピールの場ではなく内省の場と位置づけています。実績はPersonal Statementに回し、こちらでは考え方の筋道を見せてください。
SPSFは学科ごとに書き分ける
SPSFのエッセイは約500語、タイプ入力で、志望学科の分野を学びたい理由を書きます。複数学科に出すなら学科ごとに別の原稿です。
経済学科なら「社会全体の仕組みや政策への問い」、経営学科なら「組織や事業への問い」。同じ経験を土台にしても、立てる問いの単位を変えれば書き分けられます。
総合グローバル学科だけは課題が具体的です。探究したいテーマ、それに関心を持つ理由、プログラムで学びたいことを書き、参考にした本や情報源を3点まで挙げます(参考文献は語数に含めない)。読書の蓄積が直接問われる課題なので、高2のうちから関心テーマの本を読み始めてください。
「活動記録」ではなく「問いの物語」にする
入試の方式は違いますが、日本語の総合型選抜で上智大学に合格したリザプロの生徒も、同じ原則で志望理由書を仕上げています。
2024年度に合格した吉相さんは、サッカーボールをアジアやアフリカに届けるボランティアなど、好きなサッカーと国際協力を結びつけた活動を土台にしました。書く段階では、活動の記録ではなく「なぜこの分野に関心を持ち、何を感じ、どう学びにつなげるか」という筋を意識したと振り返っています(吉相さんの合格者インタビュー)。
2023年度に合格した野村さんは、千葉県教育委員会への教育改善の提案や、スイスへの短期留学で見た多言語教育を経て、教育への関心を深めました。志望理由書では実績を並べるのではなく、経験同士のつながりと、それぞれが自分にとって持った意味を書いたそうです(野村さんの合格者インタビュー)。
英語のエッセイでも、評価される骨格は変わりません。上の図の4段(取り組んできた問い、試したこと、このプログラムを選ぶ理由、卒業後の使い道)で組み立て、FLAのPersonal Statementでは3段目を短くしてください。
推薦状で海外経験・探究活動を補強する
入学センターは、海外経験を推薦状の中で先生に書いてもらうことも可能だと述べています。エッセイで語りきれない部分を、第三者の証言で補う発想です。
推薦者には、次の3点を1枚にまとめて渡してください。
- 志望プログラムと、その理由の要約
- 先生に特に触れてほしいエピソード(授業内の発言、課題研究、課外活動)
- 出願締切と提出方法(推薦者がアップロードサイトから提出。英語か日本語、独自様式も可)
材料を渡された推薦状は、具体性がまるで違います。
スコアメイクはいつまでに終えるべきか
第1期で出すなら、高3(G12)の10月が実質的な最終受験です。スコアは出願期間の最終日(12月4日)までに確定している必要があり、直送の手続きにも時間がかかります。
理想は高2の終わりまでにTOEFL・IELTSを目標点に乗せ、高3の夏はエッセイに集中できる状態をつくることです。スコアと書類を同じ時期に追いかけると、どちらも中途半端になります。
最後に一つ。募集要項は、生成AIを出願書類の作成に使うことを禁止しています。構成の相談や添削は人に頼み、文章は自分の言葉で書いてください。
関連記事:志望理由書の基本的な構成と文字数の配分/志望理由書の合格例を学部系統別に紹介
学費・奨学金
初年度の学費は、文系のFLA・SPSFが約164万〜167万円、理工系のDGTechが約208万円です(下表、入学金20万円を含む)。DGTechは授業料に加えて実験実習料がかかるため、約40万円高くなります。
初年度の納付金
項目 | FLA(2026年度参考) | SPSF(2026年度参考) | DGTech(2027年度確定) |
|---|---|---|---|
入学金 | 200,000円 | 200,000円 | 200,000円 |
在籍料(1学期) | 30,000円 | 30,000円 | 30,000円 |
授業料(1学期) | 586,000円 | 586,000円 | 696,000円 |
教育充実費(1学期) | 129,000円 | 105,000円 | 170,000円 |
実験実習料(1学期) | なし | なし | 42,000円 |
入学前の納付額 | 947,650円 | 923,650円 | 1,140,650円 |
初年度合計(本記事試算) | 約1,668,650円 | 約1,644,650円 | 約2,078,650円 |
出典:上智大学 FLA・SPSF・DGTech 各募集要項(2027年度)。入学前の納付額には学生教育研究災害傷害保険料2,650円を含みます。FLAの1学期目の教育充実費にはオリエンテーション費24,000円が含まれ、初年度合計は2学期目を105,000円として試算しました。初年度合計は2学期分を足した本記事の試算です。
FLAとSPSFの2027年度の確定額は2026年9月に決まり、合格者に通知される仕組みです。授業料と実験実習料は物価に応じて毎年改定されます。卒業年度には校友会費40,000円がかかります。
出願時に申し込める奨学金
出願と同時に申し込める奨学金は2つです(上智大学 Web Piloti「Scholarships that Students may apply for before entering Sophia University」)。
奨学金 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
上智大学新入生奨学金(New Student Scholarship) | 経済的な支援が必要で、上智大学を第一志望とする人 | 授業料の減免 |
上智大学篤志家(足立)奨学金 | 留学生 | 1年次の授業料と教育充実費の全額 |
申込の注意点は3つあります。奨学金の書類は出願書類とは別に、学生センターへ出願期間内に送ります。複数のプログラムに出願する場合は、プログラムごとに申し込みます。第1期で合格した人は、第2期で奨学金に申し込むことはできません。
出願時型は、締切が出願期間と重なります。合格してから調べ始めると間に合いません。
まとめ
上智大学の9月入学は、FLA・SPSF・DGTechの3択です。
選び方は学位で決めてください。広く学んでから専攻を絞るならFLA、経済・経営・社会・教育・新聞・国際関係のどれかを英語で専門的に学ぶならSPSF、データサイエンスと環境工学を組み合わせたいならDGTech。2028年度から帰国生入試が縮小されるため、海外生にとってこの3つの重みは確実に増していきます。
動くべき日付は1つです。第1期のWeb出願締切、2026年12月4日。
この日から逆算すると、英語スコアと統一試験は高3の秋までに、エッセイと推薦状の依頼は高3の夏までに区切りをつける必要があります。今の時点でどこまで揃っているかを確認し、足りないものから手をつけてください。
FAQ(よくある質問)
Q1. 上智のSPSFとFLAは、どちらが難しいですか?
倍率だけでは比べられません。FLAは9月入学の定員が80名と大きい一方、第2期は3〜4倍台まで上がった年があります。SPSFは2026年度全体で約2.8倍で、学科による差が大きいのが特徴です。
Q2. 海外経験がなくても出願できますか?
できます。上智大学の公式FAQが、海外経験がなくても必要書類を揃えれば出願可能だと明記しています。帰国生向けの特別枠もありません。
Q3. 面接や筆記試験はありますか?
ありません。FLA・SPSF・DGTechとも、提出書類だけで合否が決まります。
Q4. SPSFとFLAは併願できますか?
併願できます。SPSFの中でも複数学科に同時出願でき、その場合は学科ごとに受験料とエッセイが必要です。推薦状はSPSF宛ての2通で足ります。
Q5. DGTechは9月入学できますか?
4月と9月の年2回、入学の機会があります。9月入学は書類選考による一般入試のみで、日本の高校在籍者向けの推薦入試は4月入学で行われます。
Q6. 不合格になったら、次の期に出し直せますか?
出し直せます。上智は、過去の出願で不合格になった人が次の出願期に再出願することを認めています。第1期で不合格なら、書類を改善して第2期に出すことができます。
Q7. 9月に入学して、3月に卒業することはできますか?
学科によって可能です。SPSFの教育・社会・経済・経営・総合グローバルの各学科は、条件を満たせば6〜7学期での早期卒業を申請できます。

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